2002 Fiscal Year Annual Research Report
複数市場の均衡を利用することで個票データの不足を集計量で補完する方法の開発と応用 ―ゲートキーパーの導入が医療費を抑制する効果に関する実証分析への応用―
Project/Area Number |
14730052
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
青木 研 上智大学, 経済学部, 講師 (70275014)
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Keywords | 集計量 / 均衡の一意性 / パラメータの一意性 / 構造推定 |
Research Abstract |
この研究では、患者属性、家計属性、医療施設属性のすべてを個票レベルで接合できない場合に、個票の不足を集計データで補完し、集計データから個票に近い情報を引き出す手法を開発すること、および、新たに開発した手法を現実の医療政策上の問題へ応用すること、を目的としている。 今年度はその第一段階として(1)各種集計量と、それぞれの集計量のもとで市場均衡が一意に決まるモデルの特定化・関数形を明らかにする (2)個票データと集計データとが混在する先行研究の展望の2点、中でも(1)の点に関して集中的に研究を行った。 この段階では、ある集計量を用いたときにどのようなモデルで解が一意に決まるのかを明らかにするのが目的になる。均衡解が一意に決まらないモデルからは、観察された均衡から逆にパラメータを一意に推計することはできないからである。 (1)に関する今年度の成果は、集計量として1次のモーメントを用いるケースについて、構造推定の手法を用いて推定を行う際に、経済主体の選好・行動をどのように定式化すれば均衡が一意に得られるかについて幾つかの十分条件を得たことである。 この成果をふまえて、来年度は(a)集計量としてさらに高次のモーメントを用いた場合について、ユニークな均衡が得られるような経済主体の選好・行動の定式化を探る。 (b)日本で入手できるデータの制約に則した形で、続く実証研究のためのモデルを定式化する。などを行う。
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Research Products
(2 results)