2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本商社の輸送業務と海運市場-傭船市場の成立・変容と運輸政策の展開-
Project/Area Number |
14730063
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 助教授 (40327995)
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Keywords | 三井物産 / 三菱商事 / 総合商社 / 傭船市場 / 不定期船 / 海運 |
Research Abstract |
本研究では、戦前期日本商社における輸送業務の展開を近代日本の海運市場の成立、変容との関連において実証的見地から考察することを目的としている。本年度の研究を通じて得られた知見は下記の通り。 戦前期における三井物産の海上輸送業務は大まかに、日露戦後期にかけて自社貨物輸送のための内部機構(船舶部)が形成された後、両大戦間期に輸送の外部化と船舶部のコモン・キャリアー化が進展した。ただし、戦間期にも三井物産船舶部は、外部貨物の輸送に特化することはなく、一部商品については、却って船舶部輸送が重要な機能を発揮していた。こうした一連の輸送状況の展開については、不定期船を中心とする海運業の動向が大きな規定要因となっていた。たとえば、船舶部創設の意図は、内地傭船市場が未成熟の段階において、社内船腹需要を効率的に調整することにあり、そうした社内機構を整備した三井物産は他杜に比して有利な輸送業務を展開することが可能であったと考えられる。また戦間期においても輸送取引の固定化や不定期船の定航化といった海運市場の動向が同社の輸送業務の展開に大きく作用していた。 以上の分析を進めるにあたって、本年度は、神戸大学や東京大学に所蔵される海事彙報の船舶所在データの収集・分析や糖業連合会、八幡製鉄所、北海道炭礦汽船等、メーカー側の輸送への取り組みを実証的に解明する輸送関連の一時資料を各地において多く収集した。 また、本年度の研究で得られた知見については、商社史研究会や戦間期交通史研究会、商社諸業務研究会、糖業研究会等で報告するとともに2003年度経営史学会全国大会において「両大戦間期三井物産の海運業務」として報告を行った。
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Research Products
(2 results)