Research Abstract |
平成14年度は,Howitt(1999)のモデルを用いて,各種の税が長期的な経済成長率に与える効果を,比較静学および数値分析の手法により分析した。同モデルは,財のバライエティ増加と各産業における生産性の上昇が,内生成長をもたらすというものである。まず,比較静学分析の結果,労働所得税は,長期的な経済成長率に影響を与えないが,資本所得税およびR&Dに対する補助金は,影響を与えるということが明らかにされた。しかし,数値分析の結果,資本所得税およびR&Dに対する補助金も,かなり大幅な変更を行わなければ,経済成長率に影響を与えることができないことが明らかにされた。 平成15年度は,各種の税が経済成長率に与える効果を,移行過程も含めて分析したHowitt(1999)のモデルは,モデルの動学特性が不明瞭であるため,移行過程を分析することが困難である。そこで,Romer(1990)のモデルを用いて先の課題を検討することにした。Romer(1990)のモデルは,財のバライエティ増加が内生成長をもたらすというものである。同モデルの動学特性はArnold, L.G.(2000)によって分析されている。分析の結果,各種の税,補助金は,成長率の移行過程に対しては,無視できない効果を持つことが明らかにされた。 参考文献 Arnold, L.G.(2000)"Stability of the Market Equilibrium in Romer's Model of Endogenous Technological Change : A Complete Chracterization",Journal-of-Macroeconomics Vol22(1),pp.69-84 Romer, P.M.(1990),Endogenous Technological Change, Journal of Political Economy Vol.98,S71-S102. Howitt, P.(1999)"Steady Endogenous Growth with Population and R & D Inputs Growing",Journal of Political Economy, vol.107,no.4,pp.715-730.
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