2002 Fiscal Year Annual Research Report
草創期百貨店における生産との分業関係の変化に関する研究
Project/Area Number |
14730085
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
藤岡 里圭 長崎県立大学, 経済学部, 講師 (00326480)
|
Keywords | 百貨店 / 呉服店 / 部門別管理 / 部門 / 管理 / 洋風化 / 商品開発 / 博覧会 |
Research Abstract |
今年度の研究は、呉服店から百貨店へと移行する過程で、どのようなイノベーションが発生し、それが百貨店の成立にどのような影響を与えたのか、という観点から考察した。 まず、呉服店が呉服以外の商品を取り扱うに際して、生産とどのような分業関係を築いてきたのかという問題について、「取扱商品の拡大と商品開発」(博士論文第6章)の中で検討した。草創期の百貨店にとって、陳列販売の採用や部門別管理の導入が重要な要素であったことはいうまでもない。しかし、だからといってこれだけでは草創期百貨店の急速な取扱商品の拡大に対応することはできない。むしろ、各百貨店で行われた商品開発の方が重要な意味を持つように思われる。たとえば高島屋では、博覧会を通じて欧米各地の技術を取り入れ、生産に必要な資金や人材を確保しながら、生産過程に介入していった。その結果、和式の生活では全く接する機会のなかった洋風商品を、店頭で販売することが可能となり、また、販売を通して、消費者に洋風生活を啓蒙してきたのである。 他方、そうして拡大した取扱商品は、売場の拡大を求める。とはいえ、無秩序に拡大した売場は、商品を錯綜させることとなる。そこで、その問題を解決するために導入されたのが部門別管理であり、それは、部門を設けることによって商品の所在を明らかにしようというものであった。つまり、商品部門毎に責任者を任命し、部門の独立性を維持することが求められたのである。しかし、部門別管理では、商品の取扱量に大きく依存することになるため、さらに、個々に管理された部門を全体として管理する「部門管理」へと発展してきた。この発展段階を、業態技術という視角から考察したのが、「部門別管理の発展過程」(『流通理論の現実透視力』第5章)である。
|
Research Products
(1 results)