企業社会戦略の類型化と構造分析-社会戦略の経営学的実証研究-

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14730091
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 谷口 勇仁 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60313970)
• Keywords: 社会戦略 / ステイクホルダー / 社会業績

Research Abstract

本年度は,昨年度に引き続き,精緻化した枠組みにもとづき,日本企業の系統的な社会業績のデータを継続的に収集している調査グループから入手した社会業績(Social Performance)のデータ分析を行った.ただ,社会業績のデータが膨大であり,また,年度によって項目の定義に変更があるため,その変更をどのように考慮するかについては多少の修正が必要であると考えられる.
また,社会業績のデータが得られた企業の経済業績のデータについても整理を行っている.この整理したデータに基づき,社会業績と経済業績との関連性についてのSPSSを用いた多変量解析の分析を行う予定である.今のところ,社会業績をステイクホルダーアプローチにもとづいた分析枠組によって類型化し,経済業績との関連性を見ることを考えている.ただ,経済業績に関しても,どの指標を用いるのかによって分析結果が異なることが予想されるため,解釈の仕方について現在考慮中である.
同時に,本研究における鍵概念の1つである「社会業績」について昨年度に行った網羅的な文献サーベイにもとづき,社会業績の分析アプローチについて体系的な整理を行った.この成果の一部については,『「企業の社会的責任論」の生成と展開』ミネルバ書房において,2004年度に出版予定である.
研究成果の全体は,現在まだ公表する段階にはないが,最終年度である平成16年度にむけて,入手した社会業績のデータに基づき,経済業績との関連性,企業を取り巻く社会環境との関連性について多変量解析を中心とした分析の結果を整理し,企業の社会戦略の類型化と,企業を取り巻く環境を分析し,企業の社会業績を規定する構造を明らかにする予定である.