2003 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍企業の知識移転能力と海外子会社の知識吸収能力の対応関係についての比較研究
Project/Area Number |
14730093
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
山口 隆英 福島大学, 経済学部, 助教授 (90272096)
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Keywords | 多国籍企業 / 知識移転 / マザー工場 |
Research Abstract |
平成14年度に、イギリスにおいて、日系製造業子会社に対する質問表による調査を行った。平成15年度は、これを受けて、日本において、外資系製造業企業に対する質問表調査を行った。これら二つの調査結果を多国籍企業研究会西部部会において報告し、他の多国籍企業の研究者との意見交換を行った。 平成15年度の活動の詳細は次のとおりである。5月に、日本において製造活動をしていると目される外資系製造業企業548社に、郵送で質問表を送付した。このうち、79社、14.4%から回答を得た。平成14年度の調査であられた59社のサンプルと、15年度の調査で得たサンプルから、日系外資系企業と、在日外資系企業という2つのサンプル群を得た。この二つのサンプル群の比較分析を中心に統計分析をおこなった。統計分析の結果、在英日系企業が、在日外資系企業と比較して、形式知化されていない知識、もしくは、形式知化が難しい知識を移転していることが明らかになった。また、日系企業のほうが、マザー工場の機能を積極的に活用し、マザー工場から派遣されている人材において暗黙知を多く所有するタイプの従業員を海外工場に派遣する傾向が強いことが明らかになった。この統計分析の成果を、多国籍企業研究会の西部部会において、報告し、多国籍企業の研究者と議論した。研究会の議論では、日系企業と外資系企業の工場技術水準の違いが問題となった。つまり、海外工場の技術水準が上がれば、マザー工場からの技術移転が少なくなるのではないかという課題が見えてきた。同時に、本社が海外工場に課す戦略的意味合いの違いが、二つのサンプル群の値の違いを生じさせているのではないかという指摘も得た。これらの指摘は、今後のデータの再分析の中で活かしていく予定である。 最後に、平成16年度については,これら2つの調査から得られたデータを再分析し、調査報告をまとめ、国際学会もしくは海外の学会で報告していく予定である。
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