2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730126
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Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
瓦田 沙季 神戸商科大学, 商経学部, 講師 (40336821)
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Keywords | 公会計 / 自治体会計 / 政府財務報告 / アカウンタビリティ / 会計年度間の衡平性 / 予算準拠性 / 発生主義に基づく財務諸表 / 業積評価 |
Research Abstract |
研究成果の1「分権時代の地方財政と自治体会計」においては、自治体を取り巻く環境的要因を考慮した上で、行財政運営の結果を測定・報告する自治体会計制度をいかに構築すべきかについて考察を行い、以下の知見を得られた。すなわち、長引く不況で地方財政の悪化が深刻化しており、職員減、給与カット、予算の一律カット等による歳出削減を上回る税収減が生じている。一方、地方分権の推進により、自治体の自己決定権と自己責任の範囲が拡大され、自治体の果たすべき役割がますます増大している。そこで限られた財源で多様化する住民のニーズに対応するためには、選択志向に立った政策・施策の見直し、効率的な資源配分、地域住民の受益と負担の明確化、自主的な財源確保の努力、サービス提供の経済性、効率性および有効性の向上といった新たな努力が必要である。そして、行財政運営に必要不可欠な住民の信頼と協力を得るために、行財政運営における住民の参加と監視が一層重要となり、住民への積極的な情報開示が求められている。そこで財政運営の健全性および行政サービスの経済性、効率性、有効性の判断に役立つ会計情報が最も重要な情報となるが、予算統制に焦点を置いている現行の自治体会計制度ではそのような会計情報を提供することができない。故に、それらの情報を提供できるように自治体会計制度の改革に早急に取り組まなければなければならないと思われる。研究成果の2「発生主義に基づく自治体財務諸表の導入をめぐって」は、自治体会計制度の改革をめぐる議論の中で、発生主義に基づく自治体財務諸表の導入を提唱する動向がある一方で、そのような動向を疑問視する意見も見られるため、発生主義の財務諸表がなぜ必要であるのか、その財務諸表の作成目的を何に求めるべきか、さらにそのような財務諸表の構築はいかなる意義と限界を有するのかといった問題を吟味し、錯綜した議論の整理を試みた。ここでは、自治省と総務省による自治体のバランスシートと行政コスト計算書の作成マニュァルにおける理論的整合性の欠如を指摘した上で、作成方法において多くの類似点が見られる米国地方政府財務諸表の作成目的を考察することにより、発生主義に基づく財務諸表の役割を財政運営の健全性の判断指標になる会計年度間の衡平性の表示に求めるべきことを明らかにしている。
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Research Products
(2 results)