2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730126
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Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
瓦田 沙季 神戸商科大学, 商経学部, 講師 (40336821)
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Keywords | 自治体会計 / 発生主義会計 / キャッシュ・フロー計算書 / 米国地方政府会計 / 国際公会計基準(IPSAS) / 歳入歳出決算書 |
Research Abstract |
近年、自治体会計制度の改革をめぐる議論の中で、現行の現金収支会計の問題点が強調され、企業会計的手法、特に発生主義会計の導入が関心の焦点となっているため、貸借対照表と行政コスト計算書の導入をめぐる議論が多く見られるが、企業会計において第三の財務表として位置づけられているキャッシュ・フロー計算書に関する議論が極めて少ない。それは、現に自治体が作成している決算書類がキャッシュ・フロー情報を提供できるため、新たにキャッシュ・フロー計算書を導入する必要性がないと考えられているからなのか、その原因は判然としない。ところで、2002年5月に日本公認会計士協会が公表した「公会計原則(試案)」では、公的部門においても私企業と同様にキャッシュ・フロー計算書を作成するように提案されている。しかし、そこでは、キャッシュ・フロー計算書と現行の自治体会計における歳入歳出決算書等との関係および両者の相違点が明らかにされていない。そのため、本年度は、貸借対照表と行政コスト計算書に関する総務省マニュアル、米国地方政府会計基準書第34号、日本公認会計士協会による「公会計原則(試案)」、そして国際公会計基準(IPSAS)による公会計制度の改革動向を考察することによって、自治体会計においてキャッシュ・フロー情報を提供するために、いかなるアプローチを採用すべきかについて研究を行った。その研究によって、日本公認会計士協会の試案およびIPSASのように、企業会計的手法を基本的にそのまま導入するアプローチのデメリット、そして企業会計のようにキャッシュ・フロー計算書を新たに作成することをしなくても、現行の歳入歳出決算書等をベースに必要なキャッシュ・フロー情報を提供できる財務表Xの作成が可能であることを明らかにした。そのような財務表Xは、情報の集計・分類方法の工夫による現有情報の拡充(縦の拡充)であり、貸借対照表や行政コスト計算書のような全く性質が異なる情報の提供という意味での情報の拡充(横の拡充)ではないという重要な示唆が得られた。
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Research Products
(1 results)