2002 Fiscal Year Annual Research Report
財務管理とマネジメント・コントロール・システムの技術融合
Project/Area Number |
14730134
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
塘 誠 摂南大学, 経営情報学部, 助教授 (80320042)
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Keywords | 国際財務 / 国際管理会計 / キャッシュマネジメント / 為替リスク管理 / 海外子会社管理 / ヒアリング調査 / アンケート調査 |
Research Abstract |
企業に対してヒアリング調査を行い、また、アンケート調査を分析した。その結果、以下の知見を得た。 第1に、海外子会社は、国内事業部と比較して、資金、為替権限を多く付与し、インベストメントセンターやプロフィットセンターとして独立した運営を志向する傾向にあると考えられる。第2に、グローバル化が進展し子会社への分権化が進むと、利益・売上指標だけでなく、キャッシュフローまでを海外子会社の責任とする会社が多くなると考えられる。特に、「キャッシュフロー」、「投資利益率」を重視する会社が事業部目標と比較して多くなる。ただし、責任センターと海外マネジャ目標の間には関係があるとはいえない。以上から、「グローバル化が成熟するに従い、子会社への分権化が進むことから、客観的な財務指標が重視されるようになる」という仮説は支持されると考えられる。 また、海外子会社の資金、為替管理を本社等のセンターに集中するGCMSについては、GCMSの利用目的は、現段階では、資金、為替管理の効率化が大半を占め、グループ内での利益マネジメントにまで利用している例は少ないことがわかった。この理由の一つは、移転価格税制やダンピング課税で利益マネジメントが難しいことがあげられる。つまり、GCMSを導入してそれが業績評価に与える影響を調整するという方向ではなく、むしろ業績評価に影響を及ぼさないようGCMSの利用を制限するという方向が現状を反映していると考えられる。そのため、業績の管理会計的調整は必要とされていない。他方、GCMSは資金や為替をセンターで集中管理する仕組みであるため、子会社の資金や為替マインドに影響を及ぼすと考えられる。実際、過半の会社が影響を認めている。ところが、管理会計的な調整を行う会社は少ない。ヒアリングの結果、社内金利を海外子会社管理に応用している会社もあったが、十分な効果はあがっていないとの例もあった。
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