2002 Fiscal Year Annual Research Report
正則保型形式を解として持つ線形微分方程式とその応用
Project/Area Number |
14740015
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
堤 裕之 島根大学, 総合理工学部, 教務職員 (10304255)
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Keywords | 保型関数 / 超幾何級数 / Rankin-Cohen bracket |
Research Abstract |
数論的三角群の典型例であるFull modular groupの正則保型形式を同じ重みの保型形式へ移す線形微分作用素について、その作用素がある程度"良い"性質を満たすための条件をRankin-Cohen bracketを用いて表した。更に、その結果をもちいて、幾つかの1階の微分作用素を具体的に構成すると共に"良い"性質を持つ作用素が無数に存在するであろうことが明らかとなった。ここで構成した1階の微分作用素は今までの構成法では見つかり得ないものである。これら幾つかの線形作用素の固有関数は、Eisenstein級数の積で表され、この事実から、古典的なFull modular groupに関する保型形式の空間の構成を"微分作用素"の言葉で書き表すことが出来ることが分かった。次に、Full modular groupの元に関する双有理変換について、ある種の不変性を持つ複素上半平面上2階の微分方程式で、Full modular groupの楕円点でのみ方程式の係数に極を許したものを決定した。これは、それまでに見つかっていた正則保型形式を同じ重みの保型形式へ移す2階の微分線形作用素から定義される微分方程式を全て含むものとなっている。また、これら微分方程式の解を一部例外を除き超幾何級数を用いて表すことが可能であることが分かった。この具体的な解の表示を用いる事で、これら微分方程式がFull modular groupに関する保型形式を解に持っ場合をある程度知る事が可能である。
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