2003 Fiscal Year Annual Research Report
正則保型形式を解として持つ線形微分方程式とその応用
Project/Area Number |
14740015
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
堤 裕之 島根大学, 総合理工学部, 教務職員 (10304255)
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Keywords | 保型関数 / 超幾何級数 / 楕円曲線 / 超特異多項式 |
Research Abstract |
前年度の研究を引継ぎ、Full modular groupの元に関する双有理変換について、ある種の不変性を持つ複素上半平面上2階の微分方程式で、Full modular groupの楕円点でのみ方程式の係数に極を許すものについて研究を進めた。昨年度の段階で、一部例外を除き、これら微分方程式の解を超幾何級数を用いて表すことが出来ることを突き止めていた。今年度は更に進んで、解が超幾何を用いたある型の表示を持つ必要十分条件を、簡潔に書き表すことが出来た。更に、解を超幾何級数を用いて表すことが可能な微分方程式の系列に、丁度保型形式の空間0次元が2次元丁度のとき、その2次元の空間がそのまま微分方程式の解となる、そのような微分方程式が全て含まれ、かつそれらが非常に面白い性質を満たすととがわかった。ここまでの結果を9月に開催された2003年度会秋季総合分科会において「重さkの保型性を持つ2階微分方程式のある系列について」と題して発表した。現在、これら結果について投稿準備を行っている。 更に、正則保型形式を解として持つ線形微分方程式を、数年来の研究テーマであるAtkinの直交多項式系と楕円曲線の超特異多項式の関連を示すことに応用した。この結果、今まで非常に難解な議論を経なければならなかった幾つかの事実を、非常に平易な計算で示すことが可能になった。即ち、あるタイプの数論的三角群となる合同群に係る超特異多項式を、超幾何級数の有限体アナロジーで表示できることを、微分方程式のある解の正則保型形式による様々な表示を通じて導かれる超幾何級数の多項式関係を用いて示した。これにより、Atkinの直交系と超特異多項式の間の予想された関係を全て導くことができた。このテーマについては既にThe Atkin orthogonal polynomials for congruence subgroups of low levelsと題した論文に纏め、発表済みである。
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