2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740023
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松野 一夫 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40332936)
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Keywords | 楕円曲線 / 岩澤理論 / 岩澤不変量 |
Research Abstract |
今年度も引き続き、楕円曲線の岩澤不変量の考察を行った。まず、楕円曲線の2進L関数に付随する不変量に関する木田の公式の類似を証明し、前年度までに得ていたp=2の場合のλ不変量のtwistによる変化公式の解析的版を与えた。これは岩澤主予想と両立しており、この公式を使って主予想が成立する多くの具体例も与えられる。なお、最近主予想の解決がSkinner氏とUrban氏によりアナウンスされたが、彼らの結果ではp=2の場合は扱われていない。これらの結果をまとめた論文は近々投稿予定である。 続いてp=2の場合の楕円曲線のμ不変量の考察を行った。楕円曲線の2等分点がGalois加群として可約である場合の多くはGreenberg氏により考察されているが、既約である場合にはほとんど結果は知られていなかった。ここでは可約でGreenberg氏が扱ってない場合と既約の場合に、μ不変量がある代数体の一部分岐岩澤加群の構造と関連することを明らかにした。一部分岐岩澤加群は古典的な岩澤理論の研究対象となるべきものであるが、数年前に八森氏によってp=3の場合が考察されるまで、長らく扱われて来なかった。p=2の場合は実素点の影響もあり一層興味深い対象であると考えられるが、その構造についてはまだわからないことが多く残っている。それでも、2等分点が既約の場合にμ不変量を調べる手掛かりが得られたことは大きいと思われる。 更にその後、p=7,13の場合にλ不変量が任意に大きな値を取り得る、という結果を証明した。pが5以下の場合には前年度までに結果を得ていたが、それとは別の方法(p等分点が可約な場合を利用)により結果を拡張できた。また、前年度の方法にFrey氏および堀江氏らの結果を追加して適用することでp=3,5の場合にはもう一段強い結果、λ不変量は任意の非負整数値を取り得る、を示すことができた。これらの結果をまとめた論文を現在執筆中である。 以上により、当初計画した研究の大半は実行することができた。
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