2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740024
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
寺川 宏之 都留文科大学, 文学部, 助教授 (80277863)
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Keywords | 代数幾何学 / 定義イデアル |
Research Abstract |
本研究の目的は次の予想を解決することであった:「Vを高々ログ端末的特異点をもつ射影多様体,LをV上の大域的に生成された豊富なCartier因子,XをVの余次元eの部分多様体とする.このとき全射【symmetry】^m_<i=1>L^d→I_xによりXが定義されていて,a【greater than or equal】1,k【greater than or equal】(a+e-1)d+1ならば,i>0に対して,H^i(V, I^a_X(Kv+kL))=0が成り立つ. 本年度は研究計画あるように,9月に八ケ岳代数幾何学シンポジウムと日本数学会秋季総合分科会,11月に可換環論シンポジウム、3月に日本数学会2003年度年会などに参加しいくつかの興味深い講演を聞くことができた.特に可換環論シンポジウムでの渡辺敬一氏の講演では乗法子イデアル層(multiplier ideal sheaf)に関する研究報告が行われた.この渡辺氏の研究やLazarsfeld氏らによる研究から乗法子イデアル層が上記の予想の解決に重要な役割を果たすことがわかった.すなわち,射影多様体X⊂P^rの定義イデアル層I_Xから定まる乗法子イデアル層J(I_X)の性質,特にJ(I_X)とはじめに与えられたイデアル層I_Xとの食い違いを研究することが重要となるのである.Vは正規射影多様体であるから一般にJ(I_X)⊆I_Xが成立している.例えば,J(I_X)=I_Xとなる場合にはNadel型の消滅定理から求める結論が得られることがわかる.この等号がXが非特異の場合に成立することは容易に確認できるので研究目的で述べたA.Bertram, L.Ein, R.Lazarsfeldの共著論文の結果が得られるのである.また,商層I_X/J(I_X)の台が0次元の場合にはコホモロジー群の長完全系列から予想は肯定的に解決される.しかし,現在のところどのようにすればJ(I_X)とI_Xとの食い違いを記述することができるのかがわからない.来年度はこの食い違いを記述するための研究を行い,予想の解決に近づきたい.
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