2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
糸 健太郎 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (00324400)
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Keywords | クライン群 / 双曲幾何 / 射影構造 |
Research Abstract |
現在まで有限生成クライン群,特に擬フックス群の変形空間を,曲面上の射影構造との関係を通して研究してきた.その研究の枠を広げるために次のような研究をした. 平成14年度の前半は無限生成クライン群の研究に取り組んだ.一例として,無限型リーマン面とそれを一意化する無限生成フックス群に対して,リーマン面のエンドとフックス群の極限集合のエルゴード成分の対応を調べた.その過程で,無限生成擬フックス群の研究(測度正の極限集合の内部構造,代数的・幾何的極限,写像類群の作用の連続・不連続性など)は,私にとって今後の研究課題の1つの柱になると感じた. 平成14年度の後半は3次元球面S^3の等角写像全体の成す群Conf(S^3)の離散部分群の研究をした.特にクライン群(Conf(S^2)の離散部分群)のConf(S^3)の中での変形空間を考察することで,今まで研究してきたConf(S^2)での変形空間に対して,一段高い見地を得ることを目指している.具体的にはConf(S^2)におけるonce punctured torus groupに関する理論をConf(S^3)において構築する研究を始めた.すなわち,3次元トーラスに入るある種の特異集合を持つ等角構造に対して,それを一意化するConf(S^3)の2元生成もしくは3元生成部分群を考える.その群のパラメータ空間を具体的に書き下し,その群の極限集合や,変形空間(のMaskit sliceに対応するもの)の3次元的なコンピュータグラフィックスを描かせる試みをしている.
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