2002 Fiscal Year Annual Research Report
定曲率空間内の曲面の無限次元リー群による構成の研究
Project/Area Number |
14740053
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井ノ口 順一 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (40309886)
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Keywords | ループ群 / AKNS階層 / 非線型シュレディンガー方程式 / パラケーラー対称空間 / 陪法線方向の時間発展 |
Research Abstract |
3次元定曲率空間内の「可積分系構造を持つ曲面」を無限次元リー群論的に構成する研究を開始した。本年度は曲線の時間発展を主に研究した。 1.Qing Ding(丁青)氏(中国・Fudan University)と共同研究を行い以下の成果を得た。 多くの1+1次元可積分系を抱合するAKNS階層の第2系列(second AKNS hierarchy)を微分幾何学的に検討した。非線型シュレディンガー方程式が2次元定曲率空間(球面S^2及び双曲空間H^2)上の可積分力学系を定めることが既に知られている。この事実に着目し2次複素特殊線型群SL(2,C)内の実形SU(2),SU(1,1)に同伴する実対称空間S^2=SU(2)/U(1),H^2=SU(1,1)/U(1),S^<1,1>=SU(1,1)/SO(1,1)上の可積分力学系で第二階層に属するものを分類した。その結果,S^2,H^2に対応する系は既知の非線型シュレディンガー方程式のみであること,S^<1,1>に対応する(既知の非線型シュレディンガー方程式とは別の)新たな可積分熱方程式系を発見した。更に新可積分熱方程式系の幾何学的意味を調べ,この系がパラケーラー対称空間に値をとる熱流(heat flow)であることを示した。反発的(repulsive type)非線型シュレディンガー方程式(H^2に対応する系)及び新可積分熱方程式系がそれぞれ3次元ミンコフスキー空間内の時間的,空間的曲線の陪法線方向時間発展方程式(binormal motion equation)とゲージ同値であることを示した。この成果により「新可積分熱方程式系」の離散化が期待できる。従って新たな「離散可積分系」を提供できることが期待される。(論文:Qing Ding and Jun-ichi Inoguchi, "Schrodinger flows, binormal motion for curves and the second AKNS-hierarchies"として発表予定.) 今年度の成果は(平均曲率一定曲面・汎調和平均曲率曲面などに比べ研究進展が遅い)橋本曲面の無限次元リー群論的構成論の研究進展を促すものである。 2.情報幾何学への応用も考察した。統計構造の接束へのリフトを松添博氏(佐賀大)と研究した。とくに接束上の概複素構造の可積分性・底空間から由来する幾何構造との関係を詳細に調べた。
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Research Products
(1 results)