2002 Fiscal Year Annual Research Report
統計的推測における不等式を用いた有効性に関する研究
Project/Area Number |
14740062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小池 健一 筑波大学, 数学系, 講師 (90260471)
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Keywords | 不偏推定量 / Bayes推定 / Cramer-Raoの不等式 / Bhattacharyyaの不等式 / 有効性 |
Research Abstract |
推定方式の良さを計る手段として,ある正則条件の下で,不偏推定量の分散の下界を与えるCramer-Raoの不等式があり,さらに正則条件を課すことによってこの不等式を精密化したBhattacharyyaの不等式がある.また,この正則条件が成り立たないような場合に,同様の下界を与える不等式として,Chapman-Robbinsの不等式が知られている.Chapman-Robbinsの不等式は,正則条件下でなくとも成立するだけでなく,正則条件下でもCramer-Raoの不等式の改良となっている.一方,非正則な場合における不偏推定量の分散に関してBhattacharyya型拡張をすることによる不等式が,Kshirsagar(2000)により示されたが,そこではBhattacharyya型の不等式との関連や等号達成条件などについては,全く言及がない.本研究者は,不偏推定量の分散に関する新たな別の不等式を示し,新しい不等式で与えられる下界が通常のBhattacharyya型の不等式での下界の改良であること,Kshirsagarの不等式との関連などを示した.この不等式は次数に応じて,同じ次数を持つBhattacharyya型の不等式に収束するといった望ましい性質を持っている. また,Bayesリスクに関する下界を与える不等式としてBorovkov-Sakhanienkoの不等式があるが,この下界を達成することは,非常に稀であることが知られている.一方,不偏推定量に関する下界についてはCramer-Rao, Bhattacharyyaの不等式があり,後者は前者の改良である。一般にBayes推定量は不偏性を持たないので,Bhattacharyya型の改良が本当に改善となるかはこれまでは不明であったが,本研究者は,Borovkov-Sakhanienkoの不等式をBhattacharyya型の改良をし,その改良の程度を示した.また,Borovkov-Sakhanienkoの不等式では達成しないが,新しい下界では漸近的に達成するような例を構成し,さらに応用例としてミニマックスリスクの下界を与える不等式を示した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ken-ichi Koike: "On the inequality of Kshirsagar"Communications in Statistics-Theory and Methods. 31・9. 1617-1627 (2002)
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[Publications] 小池 健一: "An extension of the Borovkiv-Sakhanerko bound for bayesrisk"京都大学数理解析研究所講究録. 1273. 115-123 (2002)
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[Publications] 小池 健一: "不偏推定量の分散に関するChapman-Robbins型不等式の拡張について"京都大学数理解析研究所講究録. 1273. 124-137 (2002)