2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 祐造 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (30304728)
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Keywords | 数理統計学 / 統計的決定理論 |
Research Abstract |
本年度は主に以下のリッジ回帰推定の問題を考えた。 線形回帰モデルにおいて、通常用いられるのは最小二乗推定量であるが、説明変数間に強い相関がある場合、分散が大きく、不安定で精度が悪いことが知られている。これは多重共線性の問題と呼ばれ、計量経済学や計量化学で重要なトピックである。リッジ回帰推定量とは、多重共線性下で用いるべき推定量として知られている。多重共線性下で精度が悪いことを表す指標として、条件数という数値解析分野の線型方程式の安定性に由来する指標を用いることが多い。リッジ回帰推定量は実際に条件数を最小二乗推定量よりも減少させる意味で安定している。また数理統計的には真の母数に近いことも重要で、平均二乗誤差が小さいことが望ましい。しかし、リッジ回帰推定量の平均二乗誤差の良さは通常モンテカルロシミュレーシヨンなどの数値的手法によって、正当化されてきた。従って、理論的問題として、条件数を減少させ、かつ平均二乗誤差を最小二乗推定量よりも小さくする推定量を提案することが重要である。これまでも同様な問題意識の下で、いくつかの研究が行なわれてきたが、1)説明変数行列がある条件を満たす場合にしか、結果が得られていなかった、2)リッジ回帰推定量がベイズ理論と密接な関係があるにも関わらず、一般化ベイズ推定量が得られていなかった、という点で不十分であった。 本年度の研究では、任意の説明変数行列に対して、平均二乗誤差と条件数を最小二乗推定量よりも小さくする十分条件を導出し、さらに正規性を仮定した場合にその十分条件を満たす一般化ベイズ推定量が存在することを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuzo Maruyama: "A robust generalized Bayes estimator improving on the James-Stein estimator for spherically symmetric distributions"Statistics & Decisions. 21. 69-78 (2003)
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[Publications] Yuzo Maruyama: "Stein's idea and minimax admissible estimation of a multivariate normal mean"Journal of Multivariate Analysis. 88. 320-334 (2004)