2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートン法の重根に二次収束する初期値の構造とその応用
Project/Area Number |
14740088
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 助手 (40247820)
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Keywords | 重根 / Durand-Kerner法 / Newton法 |
Research Abstract |
本研究の主題は、高次元ニュートン法における重根を、固定不定点として力学系の観点から調べることである。重根であるから、十分近い初期値を与えれば重根への収束が期待されるが、一方、不定点であるから、分母が消えるため、無限遠への爆発があるはずである。本研究によって、階数1の重根の近傍が3種類の部分集合に分かれ、重根に安定して収束する集合A,無限遠に爆発する集合B,重根に2次収束する集合Cが存在すること、そしてそれらの幾何学的構造が部分的に明らかとなった。 今年度は、緩和パラメータつき2次元ニュートン法の重根のまわりの局所収束性について、とくに、重根に速く収束する初期値の集合の幾何学的構造に着目して研究した。緩和パラメータの設定は、力学系の摂動である。緩和パラメータを持たない場合、重根が階数1のニュートン法の力学系は超安定の方向を持ち、重根に2次収束する初期値の集合Cは、複素曲線とカントール集合との直積を原点でpinchしたものとして記述できる。緩和パラメータを持つ場合は、重根への2次収束は得られないが、1次収束ながら重根への収束が速い初期値の集合Cが存在する。緩和パラメータの設定により不定点が重根の近傍に存在するため、集合Cは多数のpinching pointを持つことがわかった。一般の2次元複素力学系の周期的不定点の場合についても、力学系を摂動した場合、安定多様体のカントール族の摂動が見られたが、今回の研究はその類似である。 最後に、ジョージア工科大学K.Mischaikow教授を訪れて、成果発表を行い、今後の研究の発展の方向について議論した。
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