2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14740090
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中根 和昭 大阪工業大学, 工学部, 講師 (10298804)
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Keywords | free boundary / hyperbolic equation / variational problem |
Research Abstract |
双曲型方程式に支配される自由境界問題を数値解析・数学解析両面から研究を行っています。この問題は『薄いテープがテーブルに貼り付けてあり、その一端を持って引き剥がすとき、どのように剥けていくのか』を数値解析的・数学解析的に解明するのを目的としています。この現象は方程式に直すと非線形項にデルタ関数が現れてしまう問題ですので、Lagrangianを定義しその停留点に滑らかさを仮定する事でEuler-Lagrange方程式を導出し、それを解析していく方針で研究を進めて行きます。 これまでに固定領域法を用いた数値計算・局所解の構成がされていましたが、帰納的に局所解を張り合わせることで解を拡張していく方法をとれば、境界条件として与えられる引きはがす速度が非負であれば、滑らかな大域解が存在することがわかりました。また同時に負の速度を持った場合、大域解が存在しない例を構成しました。数値計算を行った場合、引き上げる速度を小さくすると自由境界が振動する現象が見受けられますが、数学的には引き上げる速度がある時刻から0であるとした場合、周期的な運動をすることがこの解の構成法より示す事ができました。 また初期条件に対しての最大値ノルムでの解の連続性についても証明することができました。これは、このような解の構成法では解は領域ごとに帰納的定義された関数で表現されていますが、初期条件のずれが帰納的にどのように伝わるかを解析した結果証明されます。同様な方法を用いる事で境界条件に対しても安定であり、引き揚げる速度が0に収束すれば周期解に収束する事も示されました。 今後現在得られている結果を応用して、空間2次元の場合(平面に張られた薄い幕をはがす)問題について研究を進めていきたいと考えています。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Nakane, T.Shinohara: "The Hyperbolic Free Boundary Problem Arising in Film Peeling Phenomena"Proceedings of the 3rd International ISAAC. Vol.2. 1087-1096 (2003)
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[Publications] S.Omata, H.Iwasaki, K.Nakane, X.Xiong, M.Sakuma: "A Numerical Computation to the American Option Pricing via the Discrete Morse Flow"Theoretical and applied mechanics Japan. vol.52. 2651-266 (2003)
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[Publications] K.Nakane, T.Shinohara: "Global solutions to a one-dimensional hyperbolic free boundary problem which arises in peeling phenomena"Journal of Computational and Applied Mathematics. Vol.152. 367-375 (2003)
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[Publications] K.Nakane, T.Shinohara: "Asymptotic Behavior of Solutions of a Hyperbolic Free Boundary Problem"DCDIS Series A : Math.Ana.. Vol.10. 289-298 (2003)