2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田谷 公利 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250411)
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Keywords | ディラック方程式 / ヤン・ミルズ方程式 / 時間大域解 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ゲージ場の理論に現れるフェルミオン場と非可換ゲージ場の相互作用の効果を数学的に解明することである.その相互作用を記述するヤン・ミルズ・ディラック方程式の時間大域解の存在,漸近挙動を調べるのが主な目的である. 今年度はヤン・ミルズ・ディラック方程式の非線型項について研究する予定であったが,変更して前年度に得られた結果を細かく検討した.前年度はハートリータイプと呼ばれる立方合成積を非線型項としてもつディラック方程式の初期値問題について研究し,時間大域解の存在および解の漸近挙動を示した.非線型項の1つの特徴はポテンシャルが入っていることである.時間大域解はエネルギークラスよりも広い関数空間の中で構成することができた.今年度文献を調べたところ,このタイプの方程式は空間2,3次元におけるフェルミオン場と可換ゲージ場の相互作用を記述するマクスウェル・ディラック方程式で磁場がない場合から導かれることがわかった.ただし,このときのポテンシャルはクーロンポテンシャルと呼ばれるもので,べきは-1である. 前年度の自分の出した結果を検討してみて,ポテンシャルについての仮定はクーロンポテンシャルを含んでいないことがわかった.ポテンシャルのべきは空間3次元では-1より小さく狭い範囲になっている.空間4次元以上の場合ではべきの範囲はより広いが,-1に届かない.そこで,クーロンポテンシャルを含むよう改善を試みた.しかし,証明方法で鍵となっているストリッカーツ評価式ではうまくいかず限界があることが判明した.別の方法を模索し,違うノルム,関数空間を使えばクーロンポテンシャルの場合も扱えるのではないかという見当がついたところで本年度は終了した.
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