2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740097
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡 裕和 茨城大学, 工学部, 講師 (90257254)
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Keywords | 積分微分方程式 / 双曲型発展方程式 / ヴォルテラ方程式 / 作用素半群 / 抽象的コーシー問題 |
Research Abstract |
パナッハ空間Eに値をもつベクトル値関数u(t)を未知関数とする常微分方程式の境界値問題 u"(t)=f(t, u(t))(0【less than or equal】t【less than or equal】1),u(0)=u(1)=0(SU) を考える.ここで,fは直積空間[0,1]×EからEへの与えられた連続関数で,第2変数についてはリプシッツ連続であると仮定する.2000年にHerzogとLemmartは,Eの任意の閉凸部分集合Cを与えたとき,上の境界値問題の解集合がCと同相になるような関数fが存在するか,という問題を提出し,リプシッツ定数がπにいくらでも近い連続関数fが存在することを証明した.彼らはそのようなfを具体的に構成している.そのような関数fはたくさん存在するのか,が我々の興味である.さらに上記問題の境界条件u(0)=u(1)=0を第3種境界条件 au'(0)+bu(0)=O, cu'(1)+du(1)=0(ただし,a, b, c, dは与えられた実定数)(SU) に一般化し,境界条件に応じて当該の関数fのリプシッツ定数がどのように変化するかも考察した.得られた結果は次の通りである.まず,HerzogとLemmartで用いられたアイデアを基礎にして境界条件に見合う適当なパラメータをもつ関数を導入することにより,当該のfが無数に存在することがわかった.さらにノイマン境界条件u'(0)=u'(1)=0および混合境界条件u(0)=u'(1)=0(またはu'(0)=u(1)=0)の場合,fのリプシッツ定数がそれぞれ0,π^2/4に近いものがとれることを示した.得られた研究成果は,本研究課題である時間発展のある双曲型ヴォルテラ方程式の適切性に役立つものと期待される.
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Research Products
(1 results)