2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740097
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡 裕和 茨城大学, 工学部, 助教授 (90257254)
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Keywords | 実解析 |
Research Abstract |
バナッハ空間におけるある種の楕円型微分方程式の解の構造に関する研究および双曲型ヴォルテラ方程式に関連する双曲型発展方程式の適切性に関する研究を行った.バナッハ空間Xの閉凸部分集合Cを任意に与えたとき,Xにおける常微分方程式u″(t)=f(t,u(t))の境界値問題の解集合がCと同相になるような関数fが無数に存在することを証明した.実際,そのようなfを具体的に構成することができ,境界条件に応じて(構成される)fのリプシッツ定数の範囲が特定されることがわかった.これはディリクレ境界条件の場合を考察したHerzogとLemmartの結果の拡張になっている.得られた研究成果は,本研究課題である時間発展のある双曲型ヴォルテラ方程式の理論を構築するうえで役立つものと期待される.次に,Xにおける抽象的コーシー問題(ACP;u_0)u'(t)=A(t)u(t)(t∈[0,T]),u(0)=u_0に現れる作用素の族{A(t);t∈[0,T]}に対して,差分近似理論の観点から,区間[0,T]の分割0【less than or equal】t_0<t_1<【triple bond】<t_k【less than or equal】Tの幅T_i-t_<i-1>(i=1,2,...,k)に依存する安定性条件を課して,(ACP;u_0)の適切性に関する研究を行った.この条件は双曲型発展方程式論の先駆者である加藤による安定性条件よりも真に弱いものであり,2000年に田中によって導入された.本研究では,作用素A(t)の共通の定義域Yが必ずしもXで稠密とは限らないとき,A(t)に時間tに関する適当な正則性を仮定したうえで,(ACP;u_0)の解作用素を与える発展作用素を構成することに成功した.その結果,初期値u_0に対する両立性条件u_0∈YかつA(0)u_0∈Y^^-が成り立てば,(ACP;u_0)の古典解がただ一つ存在することがわかる.これはYがXで稠密な場合でも新しい結果である.
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Research Products
(1 results)