2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740116
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内藤 雄基 神戸大学, 工学部, 助教授 (10231458)
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Keywords | 非線形問題 / 放物型偏微分方程式 / 自己相似性 / 解構造 |
Research Abstract |
本研究では、相似変換に関して不変な非線形偏微分方程式に対して、その特性がどのように解の振る舞いおよび解構造に反映されるかという観点から考察を行った。とくに今年度は、走化性放物型偏微分方程式系および半線形熱方程式の自己相似解の解構造について重点的に考察を行った。 まず、走化性を記述するとされる放物型非線形偏微分方程式系の2次元全領域における自己相似解の解構造について考察を行った。Liouville型定理およびmoving plane methodを用いることにより、この系の自己相似解が球対称解に限られることを示すことができた。さらに常微分方程式の手法およびBrezis-Merleのblow-up argumentを援用することにより自己相似解の解構造の考察を行い、自己相似解の存在・非存在についての敷居値(threshold)の存在を示すことができた。特に適当なパラメータの範囲においては、その敷居値が8πとなることを示すことができた。 次に、べき乗型非線形項をもつ半線形熱方程式の自己相似解の解構造について考察を行った。半線形熱方程式の自己相似解は、適当なスケール普遍性から、ある特異な初期関数をもつCauchy問題の可解性と密接に関連することが知られているが、ここでは、その初期値問題の解の非一意性を示すことにより、適当なパラメータの範囲においては、少なくとも2つの自己相似解が存在することを示すことができた。また、それらの解の漸近挙動についても考察を行い、一つの解は0に収束すること、そしてもう一つの解は、1982年にHaraux-Weisslerによって存在が示された特別な解に収束することを示すことができた。
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