2004 Fiscal Year Annual Research Report
開複素等質多様体上の積分幾何と特異な無限次元表現の実現
Project/Area Number |
14740117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 英子 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50281134)
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Keywords | ペンローズ変換 / 半単純リー群 / ユニタリ表現 / 有界対称領域 / 複素多様体 / 積分幾何 / 概均質ベクトル空間 / 超幾何函数 |
Research Abstract |
AIII型の有界対称領域D⊂C^<n^2>に対して,k階の小行列式型の連立偏微分方程式系M_kを考える.k=2の場合のM_kの解空間は多重調和関数の空間であり,Siegel上半空間におけるWeil表現の実現(柏原-Vergne)の類似になっている.さらにEuler作用素を付け加えるとGauss-青本-Gelfandの超幾何微分方程式系になることが知られている. k>2の場合は,3階以上の偏微分作用素が現れ,より一般の微分方程式系となる.その解空間については組織的な研究はなされていなかった.この方程式系を<Μ_k>^^^〜(λ)と書く.すなわち,<Μ_2>^^^〜(λ)は青本-Gelfandの超幾何微分方程式系であり,多重指数λは固有関数のパラメータになる.n, k,λが一般の場合にk階の偏微分方程式系<Μ_k>^^^〜(λ)の研究を行った.その手法は,当該研究者が前年度までの研究成果として得たペンローズ変換を用い,Dolbeaultコホモロジーの部分空間であって<Μ_k>^^^〜と同型になる線型空間を表現論的に構成することが重要なステップとなった. このDolbeaultコホモロジーはVogan-Zuckermanの導来加群を用いて代数的な性質を調べることができる.特に,K-type公式をBlattner予想(定理)を用いて具体的に計算し,さらに,それを極大トーラスに制限したときの分岐則を計算することによって,各固有値λに対応する固有関数の空間の(ペンローズ変換による)原像を決定することができる.この方針によって,方程式系<Μ_k>^^^〜(λ)はholonomicではないが,大域解からなる空間の次元は有限になることを証明した. 特に,k=3かつn=3の場合に解空間の次元dim<Μ_3>^^^〜の組み合わせ論的な公式を与え,さらに,パラメータλ(多重指数)が無限年近づくときの漸近挙動を決定した.
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Research Products
(1 results)