2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線狭帯域フィルターセットによる高赤方偏移電波銀河の輝線雲の研究
Project/Area Number |
14740126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本原 顕太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90343102)
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Keywords | 近赤外線 / 電波銀河 / 狭帯域フィルター |
Research Abstract |
本年度は、狭帯域フィルターの仕様を確定し、フィルターの製作を行った。 まず、近赤外JHKバンドそれぞれでHα、[O III]4959,5007、[O II]3727を観測することが可能な電波銀河を、2002年度までに発表された観測論文をサーベイすることによってピックアップした。結果、当初予定していたHα0.6563μmがH2(1-0)用2.12μmフィルターに赤方偏移するz=2.21-2.25の天体よりも、H2(2-1)用2.26μmに赤方偏移したz=2.40-2.45の天体がより観測に適していることが判明した。このため、製作するフィルターの仕様を変更した。 これらの条件より、狭帯域フィルターの仕様は直径42mmφ、波長帯域はz=2.40-2.45の[O II]0.3727μmと[O III]0.4959,0.5007μmをそれぞれターゲットにした1.277±0.0095μm,1.715±0.021μmとした。また、製作コストは干渉膜の設計の難しさに比例し、長波長側のカットオフ波長を検出器の感度の限界である5μmまで伸ばすとそれが大きく効いてくる。このため、長波長側のカットオフは2.7μmとし、それより長波長の光は別の汎用ブロッキングフィルターでブロックすることにより製作コストを抑えることにした。これにより、2種類のフィルターを同時に作ることが可能となった。製作されたフィルターは仕様を満たしていることが確認され、2003年後半にもすばる望遠鏡の赤外カメラIRCSに搭載する。 また、観測時間の確保のためすばる望遠鏡の2003年A期の共同利用観測に応募した。ただし、2003年A期は今回製作したフィルターを搭載することはできないため、観測提案が採用されたとしても2.26μm狭帯域フィルターによる観測のみを行う。今回製作したフィルターによる観測は2003年B期の共同利用観測に提案する予定である。
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