2002 Fiscal Year Annual Research Report
吸収境界条件法によるドリップライン原子核の構造と反応の研究
Project/Area Number |
14740146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中務 孝 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40333786)
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Keywords | 原子核構造 / 原子核反応 / 原子分子 / 線形応答 / 光吸収断面積 / 不安定核 |
Research Abstract |
本年度は、時間依存密度汎関数法と吸収境界条件法を組み合わせて、Skyrme力によるエネルギー密度を用いた計算コードの開発を行った。3次元の実格子空間において、連続状態との結合を取り入れた世界初のものを完成させることができた。軽い原子核については、このコードで研究が可能となったが、さらに中重核領域間で研対象を広げるため、3次元の正方一様格子から、非一様格子への拡張も試みたが、数値的な不安定性の問題が残っており、現在この問題の解決に取り組んでいる。これまでに、一様格子を用いたコードを用いてベリリウムの異性体などのドリップライン核における連続状態に埋め込まれた励起状態(共鳴状態)の解析を実行した。成果の一部は、国際会議等において発表済みである。 また、吸収境界条件法以外の方法による連続状態の扱いも試みた。Skyrme力による原子核のエネルギー汎関数は複雑なため、比較的簡単な密度汎関数が使える分子においてその効力をテストした。シクロプロパンとプロピレンという、同じ構成要素を持ちながら分子構造の違う異性体に対して、分子構造の違いが連続スペクトル領域の光吸収断面積に与える影響を解析した。この異性体効果は、実験的に確かめられていたが、理論的にスペクトルを再現したのは初めてである。この成果は現在論文を投稿中である。 今年度実行した研究のもうひとつは、吸収境界条件法を用いた不安定核の3体分解反応理論である。準古典近以を用いて解析されるのが一般的であるが、低エネルギーでのデータ解析には、量子力学的な計算が不可欠であり、この理論の開発とテスト計算として、重陽子の分解反応の数値解析を実行し、理論の有効性を確かめた。この研究内容に関する論文は、2003年1月に掲載された。
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Research Products
(1 results)