2002 Fiscal Year Annual Research Report
天体分布のクラスタリングと非線形・確率的バイアスの理論・観測的研究
Project/Area Number |
14740157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樽家 篤史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40334239)
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Keywords | 宇宙大規模構造 / 銀河分布 / 非線形・確率的バイアス / 重力進化 / 統計理論 / SDSS / 暗黒物質 / 重力熱的不安定性 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画でも挙げた自己重力天体のクラスタリング統計とその重力進化について、理論・観測双方の観点から考察を行ってきた。おもな研究成果は、次の通りである: (1).暗黒物質のクラスタリング統計を説明する解析的モデルの構築 (2).重力レンズ効果を用いた自己重力天体の内部構造、およびクラスタリング統計に現れる対数正規性の検証 (3).ジーナス統計に現れる非線形確率的バイアスの数値的研究、およびSDSS EDRデータの銀河分布を用いたジーナス統計の定量解析 (4).非加法的熱統計に基づく、熱平衡分布から外れた自己重力天体の重力熱的安定性の解析 この中で(1)の項目では、これまでN対シミュレーションなどで経験的に知られていた暗黒物質分布(ダークマター分布)の対数正規性(ダークマター分布は、ガウス的初期条件の場合、重力進化により、初期スペクトルに依らず、ほぼ対数正規分布になる)が、こうしたモデルから自然に説明できることを明らかにした。ダークマター分布の対数正規性は、弱い重力レンズ効果を通して観測されるクラスタリング統計にも現れるため、観測的にも重要な成果である。また、いくつかの観測事実を解析的モデルと組み合わせると、銀河分布の性質も対数正規分布に従うことも説明でき、銀河分布の非線形・確率的バイアスの影響を探る上で基礎になる性質と考えている。一方、(4)では、長時間進化で見た自己重力天体の非平衡的性質を探るための新しい試みを行った。非平衡物理としてみても興味深い研究成果であり、今後は、N体シミュレーションを通した研究から天文学的重要性を明らかにし、非線形・確率的バイアスに対する影響を考察していくことが課題である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 樽家 篤史: "Non-Gaussian Tails of Cosmological Density Distribution Function from Dark Halo Approach"Monthly Notice of the Royal Astronomical Society. 399(2). 495-504 (2003)
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[Publications] 樽家 篤史: "Gravothermal Catastrophe and Tsallis' Generalized Entropy of Self-gravitating systems II : thermodynamic properties of stellar polytrope"Physica A. 318(3-4). 387-413 (2003)
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[Publications] 樽家 篤史: "Lognormal Property of Weak-Lensing Fields"The Astrophysical Journal. 571(2). 638-653 (2002)
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[Publications] 大栗 真宗: "Strong Gravitational Lensing Time Delay Statistics and the Density Profile of Dark Halos"The Astrophysical Journal. 568(2). 488-499 (2002)
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[Publications] 樽家 篤史: "Gravothermal Catastrophe and Tsallis' Generalized Entropy of Self-gravitating systems"Physica A. 307(1-2). 185-206 (2002)
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[Publications] 日影 千秋: "Three-Dimensional Genus Statistics of Galaxies in the SDSS Early Data Release"Publications of the Astronomical Society of Japan. 54(5). 707-717 (2002)
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[Publications] 桑原 健: "Modeling Pairwise Peculiar Velocity Distribution Function of Dark Matter from Halo Density Profiles"Publications of the Astronomical Society of Japan. 54(4). 503-513 (2002)