2003 Fiscal Year Annual Research Report
アップ・ダウン・ストレンジクォークを動的に取り入れた格子QCDの数値的研究
Project/Area Number |
14740173
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
金児 隆志 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20342602)
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Keywords | 格子上の場の理論 / QCD / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
アップ・ダウン・ストレンジクォークのダイナミクスを考慮した格子量子色力学(格子QCD)の数値シミュレーションを(1.8fm)^3の格子で行い、ハドロンとクォークの質量を計算した。その結果、クォークの質量を無視するクェンチ近似によって生じるハドロンの質量の実験値からのずれが、クォークのダイナミクスを取り入れることによってほぼ消えることを発見した。また、アップクォークとダウンクォークの質量の平均値とストレンジクォークの質量が、ストレンジクォークのダイナミクスを考慮することによって約15%小さくなることがわかった。また、これらのクォークの質量の比はカイラル摂動論の予言と一致していることを確認した。 次に、格子サイズが有限であることに起因する系統誤差を検証するために、(2.0fm)^3の格子でもシミュレーションを行い、ハドロンとクォークの質量と中間子の崩壊定数を計算した。その結果、(1.8fm)^3の格子で得られた結論は格子サイズを大きくしても定量的に変わらないことを確認した。また、中間子の崩壊定数に関しては、得られた結果と実験値との間に有意なずれがあることを見た。このずれの原因を調べるためには、カイラル摂動論から予言されるカイラルロガリズムの振る舞いがよく見えるほど軽いクォークを用いてシミュレーションを行う必要がある。 また、次年度は格子間隔を変えたシミュレーションを行うことを計画しており、そのための準備研究として、格子作用中のパラメータと格子間隔とクォークの質量の関係を系統的に調べた。 以上の研究成果を日本物理学会と格子上の場の理論の国際会議において発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Aoki et al.: "Light hadron spectroscopy with two flavors of O(a)-improved dynamical quarks"Physical Review D. 68. 054502-1-054502-44 (2003)
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[Publications] T.Kaneko et al.: "Light hadron spectrum in three-flavor QCD with O(a)-improved Wilson quark action"Nuclear Physics B (Proc.Suppl.). (発表予定).