2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を用いた高分解能共鳴角度分解光電子分光法による近藤半導体の電子構造の研究
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14740193
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (10284225)
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Keywords | 共鳴光電子分光 / 近藤半導体 / 放射光 / CeRhAs / CeRhSb |
Research Abstract |
広島大学放射光源HiSORアンジュレータービームラインに接続した高分解能光電子分光装置のエネルギー分解能の再評価を行い、ノイズの低減を図った。その結果、入射光40evにおいて7.5meVの高分解能を達成した。これは斜入射分光器を用いたこのエネルギー領域の放射光利用の光電子分光では、世界最高の高分解能である。さらに角度分解能の評価のために鉛(110)単結晶試料を用いて高分解能角度分解光電子分光実験を行った。フェルミ準位を横切るバンドを詳細に測定し、角度分布曲線の幅(0.05Å^<-1>)より、角度分解能が十分高い(<0.01Å^<-1>)ことが評価できた。またCCDカメラ、液晶モニタを用いて試料位置を観測し、最適位置に簡便にあわせられるようになった。測定試料の冷却効率の向上を図るため、液体ヘリウムフロー型冷凍機のまわりに循環式ヘリウム冷凍機に接続されたラディエーションシールドを設置した。またマスフローメータを設置し、液体ヘリウムフロー型冷凍機で使用するヘリウムガスの流量をモニタできるようにした。気化したヘリウムガスの排気効率を上げるためにダイヤフラムポンプを設置した。以上のような整備の結果、試料温度10Kを維持するための液体ヘリウムの流量で、試料温度は8K程度が達成できるようになり、温度調整も簡便になった。低温で(擬)ギャップを持つ近藤半導体CeRhAs、近藤半金属CeRhSb単結晶試料について温度可変高分解能共鳴光電子分光実験を行った。その結果、CeRhAsのCe4f電子状態に降温とともにエネルギーギャップが形成される様子を直接観測することができた。またフェルミ分布関数の温度広がりを利用してフェルミ準位よりも上(非占有電子状態側)の近藤共鳴ピークを直接観測することに初めて成功し、近藤温度が1000K程度であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Shimada, et al.: "Direct observation of the Ce 4f states in the Kondo semiconductor CeRhAs and related compounds : a high-resolution resonant photoemission study"Physical Review B. 66・15. 155202 (2002)
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[Publications] K.Shimada, et al.: "High-resolution low-temperature photoemission spectroscopy at HiSOR linear undulator beamline"Surface Review and Letters. 9・1. 529 (2002)
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[Publications] M.Arita, et al.: "High-resolution low-temperature photoemission spectroscopy at HiSOR helical undulator beamline"Surface Review and Letters. 9・1. 535 (2002)
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[Publications] H.Sato, et al.: "Temperature-dependent high-resolution spectroscopy of YbMCu4 (M=In, Cd, Mg)"Surface Review and Letters. 9・1. 1079 (2002)
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[Publications] H.Sato, et al.: "X-dependent electronic structure of YbXCu4 (X=In, Cd, Mg) investigated by high-resolution photoemission spectroscopy"Journal of Physics : Condensed Matter. 14. 4445 (2002)
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[Publications] S.Qiao, et al.: "Electron optics with cylindrical deflector for spin-resolved inverse photoemission spectroscopy"Surface Review and letters. 9・1. 487 (2002)