2003 Fiscal Year Annual Research Report
伝導電子数の制御による局在f電子系に対する結晶場の出現機構の研究
Project/Area Number |
14740198
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松村 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00312546)
|
Keywords | 結晶場分裂 / f電子 / 伝導電子 / 混成効果 / 準弾性散乱 / 磁気比熱 |
Research Abstract |
昨年度作製したTm_<0.05>La_<0.75>Yb_<0.2>Te(x=0.75)とTm_<0.05>La_<0.55>Yb_<0.4>Te(x=0.55)のについて,より低温で,低エネルギーの中性子非弾性散乱スペクトルを詳細に調べるため,最低温度2Kまでの中性子散乱実験(KENS,LAM-D分光器)を行った.その結果,x=0.95の段階ではっきりと見えていた結晶場分裂は,x=0.75で既にブロードに広がり,約10meVまで連続的に磁気励起が存在し,低エネルギー部分もエネルギーゼロまで有限のスペクトルがつながっていることがはつきりと判った.更にx=0.55になると,磁気励起はほとんど消失して幅2meV程度の準弾性散乱となるが,これについてもより精度の高い実験結果が得られ,確かにギャップが消失して準弾性散乱になることがはっきりとした. これらの結果について,中性子散乱スペクトルと磁気比熱の結果を説明するためのモデルを構築し,解析を行っ.た.x=0.55では,基底状態の状態密度幅が約23Kであり,これは中性子非弾性散乱実験で観測された準弾性散乱の幅と同程度であることが判った.またx=0.75では,中性子散乱スペクトルの広がりは,Tmの周囲に存在するYbとTmの2価イオンの分布に対応していることが確立された.この状態はx=0.95の状態と基本的には同じものであり,x=0.75からx=0.55になるところで,周囲の2価イオンの数の平均が5ないし6個程度になり,そこが結晶場分裂のギャップが開くか,ギャップが消失して局所的な揺らぎが生じるかの分岐点になっていることが判った. この実験結果から,全体の濃度領域で結晶場分裂がどのように変化していくのか,ほぼ全貌を明らかにすることができた.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Ishida, T.Matsumura: "Appearance of the crystal field levels with conduction electrons in Tm0.05LaxYb0.95-xTe"Physica B. (to be published).
-
[Publications] D.Okuyama, T.Matsumura: "Resonant magnetic x-ray scattering from antiferromagnetic order in GdAs"Physica B. 345. 63-65 (2004)