2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピンギャップを持つ低次元磁性体の量子臨界状態に関する研究
Project/Area Number |
14740207
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤井 裕 福井大学, 工学部, 助手 (40334809)
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Keywords | スピンギャップ / 低次元磁性体 / 核磁気共鳴(NMR) / 量子臨界状態 / ギャップレス / フラストレーション |
Research Abstract |
S=1とS=1/2からなるフェリ磁性分子が分子間相互作用によって2次元的なネットワークを形成しているスピンギャップ磁性体BIPNNBNOについて、昨年に引き続き^1H-NMR実験を推進した。臨界磁場領域(4〜6テスラ)を含む広い磁場範囲で、液体ヘリウム3を用いた超低温域まで核磁気緩和率(1/T_1)の測定を行い、主に以下の2点を見出した。(1)臨界磁場領域の外ではギャップの存在を反映して熱活性型の振る舞いをみせる。(2)臨界磁場領域内では温度低下に伴って緩和率がわずかに増大し、一次元系のTomonaga-Luttinger液体(TLL)相で期待される温度のべき的な振る舞い(1/T_1〜T^<-α>)と類似性がある。理論面との整合性は明らかになっていないが、2次元系においてTLL状態に類似した振る舞いが期待されることがわかった。 また、1次元ギャップ系として知られるS=1/2反強磁性はしご格子系の中で、ごく最近(CPA)_2CuBr_4はラダー方向に強い相互作用をもつ初めての現実物質であることが発見された。この^1H-NMRを行い、TLL状態に類似した振る舞いを観測した。また1次元性が強くなるためにギャップは小さくなるのに対してTLL相領域は高温まで広がる特徴があり、臨界状態を調べるのに都合がよいことを示唆した。 また、ギャップレス状態の臨界状態を調べる上でS=1ボンド交替鎖Ni(333-tet)(μ-N_3)(ClO_4)は量子臨界点(交替比0.6)にあるギャップレス系であることから、本研究の目的に合致する。この錯体を含むシリーズについて^1H-NMRとμSR実験を行い、磁化率の折れ曲がりが見られる温度での秩序化を見出した。さらに、本研究の目的の一つである相関の発達と秩序化の関係に関連して、フラストレート系(かごめ格子,パイロクロア・スラブ格子,ダイアモンド鎖など)についてもNMR等の測定を行った。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] High frequency ESR studies of kagome antiferro magnets2004
Author(s)
S.Mitsudo, G.Goda, T.Fujita, M.Toda, T.Idehara, H.Kikuchi, Y.Fujii, M.Chiba
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Journal Title
Conference Digest of the 2004 Joint 29th Int.Conf.Infrared and Millimeter Waves and 12th Int.Conf. on Terahertz Electronics, M6.4, Karlsruhe, Germany
Pages: 133-134
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