2002 Fiscal Year Annual Research Report
微小磁性構造におけるコヒーレント電子輸送とその応用
Project/Area Number |
14740210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
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Keywords | ナノ系 / 位相 / スピン / ホール効果 / 永久電流 |
Research Abstract |
磁性と伝導の量子力学的結合という観点からは最近新たな可能性が理論的に指摘されている。それは局在スピンに伴う幾何学的位相(Berry位相)を伝導電子が感じ、フラストレートした磁性体ではこのためにホール効果が生じるというものである。ここでは量子力学的位相が直接伝導特性に顔を出す点で、従来知られたホール効果のメカニズムとは決定的に異なる。最近私は弱結合領域で不純物散乱も考慮した定式化を行い、磁化構造とホール係数の関係を与える公式を導いた。この仕事によりスピンの立体構造とホール効果の関係を初めて実空間での直感的描像を通して明らかにした。この結果はスピングラスなどの遷移金属磁性体はもとより、パイロクロア系など強結合系でもその高温領域など、幅広い適用が可能である。その後このホール効果はスピンカイラリティによって永久電流が引き起こされていることが原因であることを示した。この永久電流は磁化のSU(2)代数の直接的な現れで、通常の磁場による永久電流とは異なった新しい現象である。目下この効果の半導体を用いた実験での確認を提案している。
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Research Products
(1 results)