2003 Fiscal Year Annual Research Report
Cd合金系2元系準結晶を用いた圧力誘起型準結晶―結晶構造相転移の探索
Project/Area Number |
14740218
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
綿貫 徹 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・極限環境物性研究グループ, 研究員 (30343932)
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Keywords | 2元系準結晶 / 高温・高圧 / ダイアモンドアンビルセル / 放射光X線回析 / 圧力誘起構造相転移 |
Research Abstract |
本年度はCd合金系2元系準結晶の近似結晶物質について圧力誘起型構造相転移の探索を行なった。その結果、近似結晶から準結晶への構造相転移は見つからなかったものの、低温高圧領域において多彩な相が出現することを明らかにした。これは、準結晶相を出現させる合金系が、僅かな原子パッキングの違いで非常に多様な構造をとることを示した初めての例である。また、それに先立って、放射光ビームラインに低温高圧下単結晶X線回折装置の整備を行なった。上記成果はこの整備した装置を用いて得られたものである。以下、それらについて詳述する。 1.Cd合金系2元系準結晶の近似結晶物質の多彩な圧力誘起相の発見 Cd-Yb合金系1/1近似結晶について低温高圧下単結晶X線回折実験を行なった。この物質は、極く最近、低温で秩序-無秩序型構造相転移を起こすことが発見されたものであるが、常圧から5GPaまでおよび5Kから300Kまでの圧力温度領域でその構造を観測したところ、新たに6つの異なる構造秩序相が見出された。この結果は、平均原子間距離が1%縮む毎に異なる構造秩序をとることを示すものであり、この物質の構造秩序が原子パッキングに非常に敏感であることを示すものである。準結晶物質および近似結晶物質群はその構造が原子パッキングに強く依存すると考えられていたが、実際に高圧実験によって示したのはこれが初めてである。この成果は本年度3月の日本物理学会で発表した。 2.低温高圧下単結晶X線回折装置の整備 昨年度、放射光を用いた高圧下単結晶X線回折実験のための装置整備をSPring-8のBL22XUで行なったが、本年度は更に低温高圧下という2重極限環境下でも単結晶回折実験が可能となるように装置整備を行なった。この成果は第19回国際高圧力科学技術会議で発表した。
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