2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740223
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田嶋 尚也 理化学研究所, 分子物性化学研究室, 研究員 (40316930)
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Keywords | 有機伝導体 / ナローギャップ半導体 / 超伝導 / 高圧力 / 磁気抵抗 / ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では、我々が見つけた「新しい型の電気伝導体(超ナローギャップ半導体)」の特異な輸送現象を解明することが目的である。特徴は室温から1.5Kまで約6桁ほど強く温度変化する担体濃度と易動度とが相殺して温度に依存しない電気伝導度を示すことである。これは有機・無機物質含めて今までに例がない全く新しい電気伝導現象である。しかし、なぜ6桁にもおよぶ担体濃度と易動度とが低温まで相殺するのか未だ明らかでない。 そこで本年度ではまず、超ナローギャップ有機半導体の担体特性を明らかにするために、ヘリウム3を使用して0.5Kまで温度域を拡張し、15T以下の磁場中、25kbar(2.5GPa)以下の高圧下における電磁伝導(磁気抵抗、ホール効果)測定システムを構築した。また圧力セルは、少量のヘリウム3で0.5Kまで試料を冷却できるように超小型圧力セル(外形10φ、長さ3.5mm、試料スペース3φ)を製作した。 測定対象物質として、超ナローギャップ有機半導体を最初に見つけた物質であるα-(BEDT-TTF)_2I_3の担体特性を極低温域で調べた。その結果、フェルミエネルギー極近傍に0.02m_0の軽い有効質量をもつエネルギーバンド、3m_0程度のエネルギーバンド、50m_0以上の非常に重い有効質量をもつフラットなエネルギーバンドが存在することが極低温測定で判明した。低温で非常に高い易動度(10^6cm^2/V.s)を示すのは0.02m_0の軽い有効質量をもつためである。またフェルミエネルギー極近傍にあるフラットなエネルギーバンドが高温の担体濃度、易動度に大きく影響を及ぼしていると推察する。 さらに面白いことに、この物質に異方的な圧力をかけたときに新規の超伝導状態(Tc=7.2K)を発見した。フェルミエネルギー極近傍にフラットなエネルギーバンド(高い状態密度)をもっことが関係した特異な超伝導だと考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Tajima, et al.: "Effects of Uniaxial Strain on Transport Properties of Organic Conductor α-(BEDT-TTF)_2I_3 and Discovery of Superconductivity"Journal of the Physical Society of Japan. 71. 1832 (2002)
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[Publications] R.Kato, N.Tajima, et al.: "Uniaxial Strain Effect in a Strongly Correlated Two-Dimentional System β^1-(CH_3)_4As [PD(dmit)_2]_2"Physical Review B. 66. 020508 (2002)
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[Publications] N.Tajima, et al.: "Transport Properties of Organic Conductor α-(BEDT-TTF)_2I_3 and Θ-(BEDT-TTF)_2I_3 under Hydrostatic Pressure and Uniaxial Strain"Synthetic Metals. (in press).
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[Publications] K.Kajita, N.Tajima, et al.: "Organic Semiconductor with Extremle Narrow Energy Gap"Synthetic Metals. (in press).
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[Publications] R.Kato, N.Tajima, et al.: "Superconductivity Induced by Uniaxial Strain in the Pd (dmit)_2System"Synthetic Metals. (in press).