2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム液面上に形成される低次元電子系の励起状態の研究
Project/Area Number |
14740224
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
椋田 秀和 理化学研究所, 低温物理研究室, 研究員 (90323633)
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Keywords | 量子ビット / 表面電子系 / ミリ波吸収 / 低次元微細構造 |
Research Abstract |
液面上の低次元空間に-電子を閉じこめるとエネルギーが離散化する。その基底状態と励起状態の2準位を量子ビットとして利用して量子コンピューターを実現する提案がなされた。本研究では量子ビットの実現に向けて、離散化している垂直方向の束縛電子状態をミリ波を用いて制御し、単電子トランジスターを用いて状態を読み出すことを基本構造として、開発を進めている。 電子に状態間のエネルギー差に相当する周波数のミリ波(130GHz)を照射すると状態間の遷移が起こる。現在、ミリ波のソースと低温域まで導入可能な誘電体導波路を組み合わせ、1.4Kにおいてミリ波の照射テストを行った。ミリ波検知器であるInSbボロメーターを同じ1.4Kに設置し、両者とも動作することを確認した。外界から系をできるだけ孤立させ、十分長いコヒーレンス時間(=情報を保持できる時間)が期待される10mK以下の極低温域に設置する必要があるため、現在希釈冷凍機を用いて超低温10mK以下で表面電子系を形成して実験を行う準備をしている。 量子ビットの読み出しには、ヘリウムの下に単電子トランジスターを設置する。基底状態の電子は液面から10nmの高さにあり、励起状態にある電子は液面から45nmの距離にある。近傍の電荷の変化に非常に敏感な単電子トランジスターを、電子状態のセンサーとして利用できると期待され、準備を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mukuda H, Nishiyama S, Kono K: "Transport property of surface state electrons on the rotating superfluid 4He"Physica E. (発表予定). (2003)
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[Publications] Shiino T, Mukuda H, Kono K, Vinen W.F.: "First mobility measurement of ions trapped below the normal and superfluid 3He surface"Journal of Low Temperature Physics. 126. 493-498 (2002)
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[Publications] Shiino T, Mukuda H, Kono K, Vinen W.F.: "Nonlinear transport of ions trapped below the surface of superfluid 3He-B"Physica B. (発表予定). (2003)
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[Publications] Saito M, Ikegami H, Mukuda H, Kono K: "Study of dynamical properties of superfluid 3He film flow by interdigitated capacitors"Physica B. (発表予定). (2003)
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[Publications] Mukuda H, Kono K: "Quantum bits using surface-state electrons"RIKEN Review. 45. 22-24 (2002)