2002 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡系における熱力学構造とその非線形動力学系に対する一般化
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14740229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
湯川 諭 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20292899)
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Keywords | 非平衡定常状態 / 量子開放系の熱力学 / LindbladのH定理 / 熱伝導と相転移 / 高速道路交通流の物理的性質 |
Research Abstract |
今年度は、主として量子系と古典系における非平衡定常状態の性質を計算機シミュレーションによって調べた。具体的には、量子系において、微小なスピンクラスターを互いに温度の異なる熱浴と接触させ、その状況下での非平衡定常状態の性質を調べた。さらに、そのような状況下で周期的に振動する外場を導入し、温度勾配による非平衡定常状態と、周期外場によって駆動される非平衡定常状態の競合状態を調べた。この結果、Lindblad型のH-定理という数理構造が、まったく別のタイプのダイナミクスに対しても成立していることを示唆する結果が得られ、解析的な研究への足がかりが得られている。これらの成果は、現在論文にまとめている。 また、古典系に対する研究として、非平衡状態での仕事から平衡状態間の自由エネルギー差を計算するJarzynski等式の具体的な多自由度系への適用を調べ始めている。これは、非平衡状態における熱力学的な構造を調べる上での重要な道具となりうる。さらに、多粒子系における相転移と熱伝導の共存する非平衡定常状態を共同で調べ、得られた成果を論文として投稿し掲載が決定している。また、相転移の非平衡ダイナミクスに関する研究成果も共同で調べ、現在出版されている。 さらに非線形動力学系への熱力学の拡張に関連して、申請者が長年研究を行っている交通流系に対し、研究を行った。本年度は実際の高速道路上の交通流のデータの整理、解析をおこない、熱力学的な特徴を取り出そうと試みたが、データの量が膨大なため現時点では、まだそこまでは到達していない。ただ、整理が進みつつあるので、次年度には何か成果が得られるのではという期待がある。この段階までで得られた観測データの整理の結果は論文として出版されている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Murakami, T.Shimada, S.Yukawa, M.Ito: "Energy Transport in Multiphase System"Journal of the Physical Society of Japan. 72. (2003)
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[Publications] S.Tadaki, K.Nishinari, M.Kikuchi, Y.Sugiyama, S.Yukawa: "Observation of Congested Two-lane Traffic Caused by a Tunnel"Journal of the Physical Society of Japan. 71. 2326-2334 (2002)
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[Publications] S.Tadaki, K.Nishinari, M.Kikuchi, Y.Sugiyama, S.Yukawa: "Analysis of congested flow at the upper stream of a tunnel"Physica. A315. 156-162 (2002)
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[Publications] H.Watanabe, S.Yukawa, Y.Ozeki, N.Ito: "Non-equilibrium Relaxation Analysis on Two-dimensional Melting"Physical Review. E66. 041110 (2002)