Research Abstract |
平成14年度の研究成果を基にして,可変型center axiconを持つW-axicon型共振器を設計した.製作を,国内のDiamond turning加工専門メーカーに依頼し,表面のコーティングについてはs偏光とp偏光の反射率位相差が180度でないことが共振モードに影響を与えることが明らかになったため,金蒸着を選定した.その結果,有効径36mmのW-axiconミラー,toricミラーのペアが完成した. 一方,レーザー媒質については,LD励起光源とYAGの結晶を選定した.Nd濃度1%,直径5mm,厚さ2.5mmのYAG結晶を入手して,808nmのLD(Hamamatsu L8446)にて励起,通常の安定型共振器によってレーザー発振を行った.始めに,結晶をブリュースタ角に設置し,斜入射励起で発振させた.結晶の角度を変化させることにより共振器の損失が変わるため,Rigrodの式を利用すれば媒質の基本的特性が得られる.その結果,ポンプ密度がおよそ2×10^4[W/cm^2]のとき,小信号利得66[m^<-1>],飽和強度3×10^7[W/cm^2],ポンプパワー吸収係数3.5[cm^<-1>]という結果を得た.ポンプパワーの吸収係数と結晶の厚みを考えると,ポンプ光の単一パスではエネルギー結合効率が悪い.そこで,YAG結晶表面にダイクロイックコーティングを施し,ポンプパワーを全反射させると同時にこれをYAGレーザーの共振器鏡としても使ようにした.これによりポンプパワー利用率が倍増する.テストの結果,容易にレーザー発振が観測された. 続いて,現有のダイクロイックコーティングYAG結晶,L8446のほぼ垂直入射という条件で,製作したW-axicon型共振器の動作に必要な,直径3mmの円形領域に発振閾値の小信号利得を与えるポンプ光パワーを見積もった.ミラー反射面が金のため,共振器1往復の小信号損失は13%(直入射×1+45°斜入射×4)となる.従って,6.5%/passの利得が発振閾値となるが,計算の結果必要なLDパワーは9.3Wとなり,予算の関係上実現は難しい.そこで,対策として1)ビーム径の最大値を1.5mm程度に制限し,原理実証2)ミラーのコーティングを誘電体多層膜でやり直すといったことが考えられる.
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