2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740255
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
森 嘉久 岡山理科大学, 理学部, 講師 (00258211)
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Keywords | 高圧 / X線回折 / 軽元素 / 放射光 / 赤外反射 / 相転移 / リチウム / ダイヤモンドガスケット |
Research Abstract |
本研究は、典型的な金属であるリチウムが超高圧下で分子になるという理論の報告を受け、実験的な実証を試みたものである。反応性の高いリチウムをダイヤモンドアンビルセルないの小さな試料室にサンプリングすることは非常に困難で、そのサンプリングの環境作りから行なった。当初の補助によりサンプリング用のCCDカメラ付グローブボックスの完成させ、研究室においてアルゴン雰囲気中でのサンプリングが可能となった。またモータースピンドルとZ軸コントローラー、CCDカメラなどを組み合わることによりミクロン単位での調整が可能なマイクロドリルシステムを構築し、本研究で重要なダイヤモンドガスケットを作成することも可能となった。このガスケット技術の確立は軽元素の超高圧X線回折実験を行う場合、試料の厚みを保持するのに非常に有用な手段で、その技術開発の意義は大きかった。このダイヤモンドガスケットを利用して軽元素のBeOの超高圧下でのX線回折実験を行った結果、これまで見つかっていなかった高圧相を137GPaという超高圧下で発見することができ、最近その実験結果を報告した。引き続き、リチウムの実験にも取りかかったが、第三世代の放射光であるSPring-8を利用しても十分な回折線を得るのは困難であった。モノクロメータによる入射光の不安定さという問題もあったが、10μmφ程度の小さいX線を数十μ径の試料に正確に露光するためのステージ制御プログラムが十分構築されていなかったのが一番の課題であった。そこで、そのステージ制御のプログラム開発にも取り組み、近年ようやくそのプログラムが効率的に稼動し始めるようになった。本研究の目的であるリチウムの分子化を目指して実験を行ってきたが、その発生圧力は理論で予想されている100GPaには到達せず分子化を実験的に確かめることは成功しなかったが、放射光を利用した軽元素の超高圧X線回折実験の環境は十分整ったので、今後もこの研究を継続してリチウムの分子化を探索していく。
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Research Products
(5 results)