2003 Fiscal Year Annual Research Report
地震破壊に関連するエネルギーの配分とスケール依存性:地震波解析による推定
Project/Area Number |
14740263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 哲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (90292713)
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Keywords | 地震エネルギー / 破壊表面エネルギー / スケーリング / 2000年鳥取県西部地震 / 高深度ボアホール / 震源スペクトル / Long Valleyカルデラ |
Research Abstract |
本年度は地震波エネルギーのバランスに関する理論的研究をまとめるとともにエネルギーのスケーリングに関してより確実な結果を得るために波形解析によりデータを増やした。断層モデルを用いた破壊エネルギーの見積もりについてはBulletin of ERI誌にて出版した。この研究では地震サイズに破壊エネルギーが依存することさらにその空間的な分布が破壊伝播速度を支配している可能性を示した。さらにLong Valleyカルデラと長野県王滝村の地震活動についてのエネルギー推定研究の結果はJournal of Geophysical Research誌とGeophysical Research Letter誌に掲載した。これらの結果は基本的に地震エネルギーと地震モーメントの比がサイズにあまり依存しないということを示唆する。2003年7月には米国で開かれたエネルギースケーリングに関するワークショップに参加した。ここでは世界のこのエネルギースケーリングの問題に対する考え方がまだ確立しないことが明瞭に示され、引き続き研究が必要なことを確認した。そのワークショップ及び日本地震学会秋季大会では2000年鳥取県西部地震についての結果を発表した。これは現在Earth Planet Space誌に投稿中でもある。重要な結論として、従来の記録より高周波の記録を用いることでより確からしいスケーリングを導くことができるというものである。これ以外にも日本国内のHi-Net記録を用いた地震エネルギーの系統的推定法の吟味を行った。大地震の解析例として2003年に起きた十勝沖地震の破壊過程を波形インバージョンにより推定した。これらの研究は現在まとめの段階にある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Ide, G.C.Beroza, S.G.Prejean, W.L.Ellsworth: "Apparent break in earthquake scaling due to path and site effects on deep borehole recordings"Journal of Geophysical Research. 108. doi:10.1029/2001JB001617 (2003)
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[Publications] S.Ide: "Fracture surface energy of natural earthquakes from the viewpoint of seismic observations"Bulletin of Earthquake Research Institute. 78. 59-65 (2003)
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[Publications] Matsuzawa, T., M.Takeo, S.Ide, Y.Iio, H.Ito, K.Imanishi, S, Horiuchi: "S-wave energy estimation of small-earthquakes in the western Nagano region, Japan"Geophysical Research Letters. 31. doi:10.1029/2003GL018445 (2004)
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[Publications] H.Aochi, S.Ide: "Numerical study on multi-scaling earthquake rupture"Geophysical Research Letters. 31. doi:10.1029/2003GL018708 (2004)