2003 Fiscal Year Annual Research Report
薩摩硫黄島の火山活動に伴う自然電位変動に関する三宅島火山との比較研究
Project/Area Number |
14740267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神田 径 京都大学, 防災研究所, 助手 (00301755)
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Keywords | 火山観測 / 自然電位 / 電極 / 薩摩硫黄島 / 傾斜計 / 火口拡大 / RFD効果 / 流動電位 |
Research Abstract |
今年度は、薩摩硫黄島山頂部での自然電位連続観測を継続して行った。また、新規購入の高精度傾斜計を設置し、電位観測と同じデータロガーに記録することによって、山頂火口の拡大に伴った変動の検出や三宅島で観測された傾斜ステップ現象の検出を狙った。経費の大半はこれらの観測の維持に充てられた。これまでの成果は、地球惑星科学合同大会及び国際測地学・地球物理学連合総会にて発表した。 昨年度の観測結果として、火山性連続微動発生前にいくつかの電極で電位上昇傾向が見られた。今年度も2003年6月7日から一週間程度連続微動が発生し、少量の降灰も観測されたが、その前後には有意な電位変動は観測されなかった。昨年問題となった電極のドリフトは、電極を変えてもあまり改善は見られず、むしろ長期間の埋設によって安定したように見える。傾斜計は、恒温に保つため塩化ビニル製管内に密閉して設置したが、地下からの高温火山ガスのため、測定器の正常動作限界(約70℃)を超えていた。現在、密閉状態をやめ空気穴を開けることで観測を継続中である。これまでに得られているデータには、設置初期段階にしばしば起こるドリフトが見られるものの、電位データと連動するような変動は得られていない。 昨年より低調に推移してきた硫黄岳の火山活動は、今年度後半にはさらに低調になった。観測時の観察では、火口底が目視できるほど火口内の噴気量が減り、火口拡大も既に止まっているようである。1999年より行っている硫黄岳山麓から山頂までの自然電位測定を行ったところ、この4年間で有意な変化は見られず、安定した正異常域を形成していることがわかった。硫黄岳の正異常の原因としてRFD効果の可能性について検討した。結論は出ないが、噴気量の減少が地球物理学・化学的観測によっても検証されれば、長期間安定した正異常はRFD効果では説明できず、流動電位による解釈の方が妥当と考えられる。
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Research Products
(1 results)