2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯太平洋とインド洋の大気海洋結合系の連動性の降水過程を含むメカニズムの解明
Project/Area Number |
14740275
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根田 昌典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10273434)
|
Keywords | ENSO / モンスーン / 年々変動 / 大気海洋相互作用 / 海面温度 / 降水過程 |
Research Abstract |
本研究では、ENSOスケールの変動現象について、太平洋とインド洋のそれぞれに特徴的な変動の中で特に重要な要素である海面温度と大気の変動場の関係に注目し、両大洋間の現象が連動するように見える主要な過程を明らかにすることを目指す。その第1年目として、今年度はデーセットの整備とインド洋の海上風の年々変動の基礎的な解析を行った。 大気海洋間の相互作用を解析するために重要な要素として、降水過程による潜熱の放出量がある。人工衛星による観測を用いて降水量変動を直接解析するために、TRMMのPRによる降水量を太平洋上のブイの観測値を用いて評価した。TRMMの観測範囲は低中緯度域であるので、それを補うために人工衛星データなどの複合プロダクトであるGPCPの月平均降水量データとTRMMのデータを比較し、その時間的、空間的な特性を評価した。これらの推定値に対するトゥルースデータを取得することは非常に難しいことが明らかになったが、不確定さを持ちながらも衛星観測値が降水量変動のトレンドを捉えていると考えてよい事がわかった。 一方、OLRデータと中心としたデータ解析から、インド洋東部域と太平洋西部域で見られる数十日程度の対流活動の北進現象は、それぞれ独立性が高く必ずしも連動していないこと、それによって生じるジオポテンシャルの南北偏差によってモンスーン風が駆動されるため、おそらくモンスーン風には2つの独立したモードがあるらしいということが分かった。これらの変動の年々偏差がモンスーンの年々変動に支配的に働くことが予想されることから、今後はモンスーンの年々変動とENSOの関係を調査する。OLRと降水量の関係から、大気の熱源変動とモンスーン風の関係をより直接的な尺度を用いて評価する。さらに海上風の水温変動への影響を調べることによってENSOとインド洋の海面温度の年々変動の関係についての評価を引き続き行っている。
|
Research Products
(1 results)