2003 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋地域の白亜紀中期アンモナイト類の分類・古生態学的研究
Project/Area Number |
14740302
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Research Institution | Institute of Natural History |
Principal Investigator |
川辺 文久 (財)自然史科学研究所, 研究員 (80329028)
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Keywords | 古生物学 / 層序学 / 古生態学 / 分類学 / 堆積学 / 環太平洋地域 / 頭足類 / 白亜紀 |
Research Abstract |
蝦夷層群分布地域のうち岩相の側方変化が最も顕著な石狩炭田地域(幾春別,芦別,夕張)の上部アルビアン階からセノマニアン階を対象に,内側陸棚相,外側陸棚相,大陸斜面相のアンモナイト群集を比較検討した結果,アンモナイト類の殻形態と生息域の関係について新知見を得た.前弧海盆においては,従来言われていたような殻体の表面装飾と堆積相との相関はないことが判明した.一方,螺環幅は堆積相に従属していることが見出される.HCSやリップッルマークが卓越する陸棚砂相では細長い螺環を持つZelandites inflatusが多産し,すべての堆積相で多産するDesmocerasの螺環幅は沖合の静穏な環境を示す泥岩相ほど太くなる.この事実は機能形態学的に細い螺環ほど流速が早い環境に,太い螺環は流速が遅い環境に適応するという見解を支持する. 白亜紀海洋無酸素事変を生じたC/T境界(93.5Ma)で軟体動物化石群が,どのように変化したのかを蝦夷層群の試料を用いて検討した.最初に大夕張地域白金沢ルートにおける年代層位学の総括を行ない,C/T境界前後の地質年代に関して詳細に議論した.特に,白金沢ルートで報告された陸源有機物の炭素同位体比曲線と米国西部内陸地域で測定された海成有機物の炭素同位体比曲線との詳細な対比を試みた.さらに,その結果を基にして,白金沢ルートと米国西部のプエブロ地域でみられる軟体動物化石の生物事件の時期やその継続時間を比較した.その結果,両国での軟体動物の絶滅〜回復に至るタイミングと群集組成の変化に相違があることが明らかとなった.これは"開かれた海域"(北海道)と"閉鎖的な海域"(米国)での無・貧酸素水塊の拡大様式の違いを反映していると考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawabe, F.: "Relationship between mid-Cretaceous (upper Albian to Cenomanian) ammonoid facies and lithofacies in the Yezo forearc basin, Hokkaido, Japan"Cretaceous Research. vol.24,no.6. 751-763 (2003)
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[Publications] 栗原憲一, 川辺文久: "セノマニアン/チューロニアン期境界前後の軟体動物相:北海道大夕張地域と米国西部内陸地域の比較"化石(日本古生物学会). 74号. 36-47 (2003)
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[Publications] Kawabe, F., Takashima, R., Wani, R., Nishi, H., Moriya, K.: "Upper Albian to Lower Cenomanian biostratigraphy in the Oyubari area, Hokkaido : toward a Cretaceous biochronology for the North Pacific"Acta Geologica Polonica. vol.53,no.2. 81-91 (2003)
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[Publications] Kawabe, F., Haggart, J.W.: "The ammonoid Desmoceras in the Upper Albian (Lower Cretaceous) of Japan"Journal of Paleontology. vol.77,no.2. 314-322 (2003)