2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ素129のAMS測定による日本近海のメタンハイドレートの形成年代の解明
Project/Area Number |
14740311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 浩之 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (60313194)
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Keywords | 加速器質量分析 / タンデム加速器 / ヨウ素129 / TOF / ガスカウンター |
Research Abstract |
今年度は、東京大学原子力研究総合センタータンデム加速器研究部門に設置されているタンデム加速器ビームシステムのAMSコースにヨウ素129を測定するためのディテクターシステムを開発した。まず、飛行時間法(TOF, Time Of Flight)のシステムを開発した。TOFの構成としては、MCP(Multi Channel Plate)によるスタートカウンター、SSD(Solid State Detector)による構成を試したところ、二つの問題点が明らかとなった。それは、1)TOF系のビームのトランスミッションが十分でなく、検出効率が落ちること、2)安定同位体測定のためヨウ素127を加速器に入射する際、一部が最終検出器にまで漏れ込み、SSDを傷めること、である。このため、現在、MCP-MCPによるTOFシステムを再構成中である。 一方で、タンデム加速器ビームシステムのエネルギー分解能を利用し、ガスカウンターによりヨウ素129を測定することを試みた。ヨウ素127の最終検出器への漏れ込み、最適な加速電圧、テャージステートを吟味したところ、ヨウ素129/ヨウ素127比で、5×10-14以下の感度を達成することができた。これは、地球化学的なサンプルの測定に十分な性能である。また、この感度は、ブランクにすでに含まれているヨウ素129による影響であり、システムとしてのバックグラウンドレベルは、さらに小さいと考えられる。 現在の地球表層環境では、核実験や核燃料再処理の影響により、ヨウ素129の濃度が高い。従って、一般に市販されている試薬のヨウ素の中には、1×10-13以上のヨウ素129が含まれているため、本研究の測定においては、ブランクとして使用できない。そこで、なるべくヨウ素129の含まれていないブランクを見つけ出すことが重要な課題である。これに関して、数種類のヨウ素の試薬を調べたところ、米国パーデュー大学提供の「Israel」と称するブランクがヨウ素含有量が低いことが分かった。 次年度は、ヨウ素129の含まれない試薬の探索を継続するとともに、TOF法を再構成し、ガスカウンター法と比較する。さらに、日本近海の海底コアより搾り出される間隙水中のヨウ素129/ヨウ素127比の測定を試みる。 なお、ガスカウンターによるヨウ素129検出システムの開発については、現在投稿論文を準備中である。
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