2002 Fiscal Year Annual Research Report
AMSによる海洋試料中マクロ有機分子の極微量放射性炭素分析法に関する研究
Project/Area Number |
14740316
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 昌男 海洋科学技術センター, むつ研究所・第1研究グループ, 研究員 (50344289)
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Keywords | 放射性炭素 / AMS / 極微量 / 分取高速液体クロマトグラフ / 海洋試料 / マクロ有機分子 |
Research Abstract |
本年度は、分子レベルでの極微量放射性炭素測定を可能にするため、極微量試料でのグラファイト作成方法とグラファイト作成時のバックグラウンドの低減を目的に、グラファイト反応ラインの製作を行った。グラファイト生成真空ラインは、大きく2つの部分、1.試料精製部、2.グラファイト反応部から構成される。特に本研究の目的である海洋試料中の有機分子の分析においては、目的試料が極微量(炭素量にして50マイクログラム以下)であるため、グラファイト生成時に混入する現代炭素の汚染が最大の問題になる。そこで、本年は、グラファイト生成に使用する反応管について、汚染に対して最大限考慮した設計で反応管の製作を行い、AMSによる評価を行った。その結果、炭素量にして10マイクログラムまでの試料について、モダーン炭素の汚染が、0.1マイクログラムカーボン以下のレベルでのグラファイト生成が可能となった。さらに極微量試料によるAMS測定の再現性についても検討を行った。AMSでは、炭素量が100マイクログラムカーボン以下になると、イオン化の際のビーム量が指数関数的に減少する。そのため、本研究では、極微量試料によるビーム量の減少が、試料量の変化に影響を与えないようにするため、測定試料と同様な微量スタンダードを作成し、測定を行った。その結果、極微量試料については、測定する試料と同量の炭素を含むスタンダード試料による補正を行うことで、通常の炭素量(500マイクログラムカーボン以上)で得られるスタンダードの保証値を得ることが出来ることを確認した。来年度は、分取高速液体クロマトグラフによる、分取の際のバックグラウンドの評価を行うため、放射性炭素を含まないスタンダードによる分取を行い、海洋試料などの実試料へ応用する際の基礎データを得る。
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