2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740319
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 昇 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90312660)
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Keywords | 気体X線散乱実験 / 電子相関 / クーロン孔 |
Research Abstract |
エネルギー分散型の気体X線散乱強度測定装置を用い、様々な解析上の工夫を加えることにより、定量的に電子相関の効果を議論できる精度での、X線散乱強度の測定法を確立した。この手法を用いることで、基本的な二原子分子であるN_2,CO,O_2等について、X線散乱断面積を測定した。実験と同時に理論計算も行い、Hartree-Hock(HF)レベル、および電子相関を取り入れたCISD、CCSDレベルでの理論的波動関数より、X線散乱強度を計算した。実験値と理論値との比較により、X線散乱強度に現れる電子相関の効果や、ab-initio計算における基底関数の影響、配置間相互作用(CI)法における配置の取り方による効果などを論じると伴に、現代の量子化学計算の問題点を明らかにした。 さらに、実験値をフーリエ変換することで、距離r_<12>離れた電子対の存在確率を表す、電子の二体分布関数P(r_<12>)を実験的に導出した。HF計算における二体分布関数との差をとることで、電子間のクーロン反発により、近距離での電子対の存在確率が減少する効果である、いわゆるクーロン孔の観測に成功した。分子のクーロン孔を実験的に観測したのは、これが初めての例である。 これにより、気体X線散乱実験が電子相関の効果を研究する上で有効な実験手段であることを示した。現在は、以上の研究を3原子分子に拡張し、N_2O、CO_2分子についての測定を行っているところである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Watanabe, K.Yamauchi, Y.Kamata, Y.Udagawa, T.Muller: "Electron correlation effects in N_2 and CO studied by x-ray scattering and CISD calculations"Molecular Physics. 100. 2839-2847 (2002)