2002 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド鎖モデルクラスター負イオンにおける水素結合を介した長距離電子移動の探索
Project/Area Number |
14740320
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前山 俊彦 東北大学, 大学教育研究センター, 助手 (20250673)
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Keywords | クラスター / 負イオン / 電子脱離 / レーザー分光 / ペプチド / 電子移動 |
Research Abstract |
ペプチドの集団と伝導電子との相互作用を明らかにする研究の第一段階として,種々のモノペプチド分子(N-メチルアセトアミド,N-エチルアセトアミド,N-メチルプロピオンアミド,N-メチルホルムアミド等)のクラスター負イオンの形成反応をレーザー誘起低速電子付着と高分解飛行時間質量分析との併用により観測した.その結果,(1)共通して2量体イオンが強く現れ,3-5量体は弱い,(2)6量体以上で再び強度が増し,側鎖の種類により異なる魔法数が現れる,(3)水分子の付着によりペプチド分子の魔法数が少数シフトする,などが明らかになった.また,N-メチルアセトアミド2量体負イオンについては,中赤外-可視光領域における電子脱離効率の測定を行なった結果,余剰電子の空間的分布半径が10オングストローム程度まで広がった双極子束縛型の負イオンであることが明らかになった.そのため3-5量体のイオン強度が弱いのが,中性状態において双極子モーメントが大きい鎖状構造をとらず,それが相殺する環状構造をとるためであることが示唆された.更に,質量スペクトルのパターンが水クラスター負イオンのものと類似していることから,6量体以上の大きなクラスターにおいては,溶媒和電子と同様の相互作用により余剰電子が束縛されていることが,強く示唆されている.それを明らかにするために,高質量負イオンの光吸収スペクトルの観測に適した脱離電子検出装置を導入し,現在調整中である.また,余剰電子の束縛エネルギーを測定する目的で,光電子分光装置も開発段階にある.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Kawamata, T.Maeyama, N.Mikami: "First observation of ionic π-hydrogen bonds ; vibrational spectroscopy of dihydrated naphthalene anion (Nph-(H_2O)_2)"Chemical Physics Letters. 370. 535-541 (2003)