2003 Fiscal Year Annual Research Report
イオントラップパルス電子回折法による原子・分子クラスターの構造決定と反応追跡
Project/Area Number |
14740323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星名 賢之助 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60292827)
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Keywords | イオントラップ / 飛行時間型質量分析器 / アニリンカチオン / 光イオン化 / 気体電子回折 / クラスターイオン / パルス電子線 |
Research Abstract |
平成15年度は、(i)イオントラップ電源の改良、(ii)フェムト秒レーザーを用いた分子・クラスターイオンの生成とそのトラップ条件の検証、および(iii)イオントラップをパルス電子回折装置に組み込んだ実験装置の立ち上げを行った。成果を以下にまとめる。 (1)従来の電源では、ある質量Mのイオンをトラップする条件に設定した場合に、他の質量M'(>M)のイオンも同時にトラップ条件に入ってしまうため、特定の質量Mのイオンのみをトラップに捕捉することは困難であった。そこで、バイアス電圧が可変のRF電源にし、特定の質量Mのイオンのみを捕捉できるような改良をした。そして、前年度まで分離して捕捉できなかった、(i)アニリンの紫外レーザー照射により生じるC_5H_6^+(M=66)と、(ii)同時に生じるアニリンイオン(M=93)をそれぞれ分離してトラップ内に捕捉することが可能となった。 (2)対象とするイオンを効率よく生成しイオントラップ内に捕捉されるために、フェムト秒レーザー(800nm,100fs,>0.5mJ/pulse)を用いた光イオン化を行った。生成されたイオンをトラップに一旦捕捉し、その後飛行時間(TOF)型質量分析器により観測した。四塩化炭素分子(CCl_4)にフェムト秒レーザーを照射した場合、TOFスペクトルには、CCl_n^+(n=3,2,1)が観測され、それぞれのイオン種を単独でトラップ内に捕捉することができた。また、Xeガスを試料とした場合、XeクラスターXe_n(n=2-8)が生成した。とくにXe_2は充分な強度で、単独で捕捉することが可能であった。 (3)イオントラップをパルス電子回折装置に組み込んだ装置を立ち上げた。真空度、RFトラップの動作、およびパルス電子銃の動作の確認を行い、トラップされたイオンのパルス電子回折像を測定するための実験条件を整えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Hoshina: "Alignment of CS_2 in intense nano-second laser fields probed by pulsed gas electron diffraction"J.Chem.Phys.. 118. 6211-6221 (2003)
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[Publications] T.Amano: "New vibrational force-field expansion of the coupled linear benders : Application to the X state of acetylene"Chem.Phys.Lett.. 375. 576-582 (2003)