2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14740334
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
根岸 雄一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20332182)
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Keywords | パラジウムクラスター / 金クラスター / チオール還元 / アルカンチオール / ジメルカプトこはく酸 / レーザー脱離イオン化質量分析法 / 透過型電子顕微鏡観測 / 紫外可視吸収分光法 |
Research Abstract |
1ナノメートル(〜40量体)以下のサイズ領域の金属クラスターは、バルク金属からのスケーリングによる予想を超えた特異的な性質を示すことが、これまでの気相実験や理論研究によって明らかにされている。分子科学的な興味からのみならず新奇材料の機能単位の開発という視点からも、サブナノメートルサイズの金属クラスターの調整方法を確立し、その構造を原子・分子レベルで解明することは重要である。本年度の研究から、金属塩(塩化パラジウムPdCl_2、塩化金酸HAuCl_4など)とチオール分子(アルカンチオールRSH、ジメルカプトこはく酸DMSAなど)を有機溶媒あるいは水中で混合することにより、チオール単分子膜に覆われた金属クラスターが得られることを見いだした。電子顕微鏡観察およびレーザー脱離イオン化質量分析法を用いて、これらのクラスターの構造を解析したところ、サブナノメートルサイズのコアを持つことが分かった。この結果は、チオールが金属イオンを還元しつつ金属-チオラート複合体を形成し、これがクラスターの前駆体となることを示唆している。チオール分子にジチオールを利用すると、分子内でのジスルフィド形成が駆動力となって金属イオンの還元が促進されることが分かった。質量スペクトルから得られたコアサイズ分布や組成比に基づいて、クラスターの特異的な安定構造やチオールによる表面被覆構造についても明らかにした。さらに、紫外可視吸収スペクトルを金属ナノ粒子のデータと比較することによってサブナノメートルサイズのクラスターでは金属的な性質が失われ、分子的な電子構造が発現することを明らかにした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Negishi, T.Tsukuda: "One-Pot Preparation of Subnanometer-Sized Gold Clusters via Reduction and stabilization by meso-2,3-Dimercaptosuccinic Acid"Journal of American Chemical Society. 125・10(in Press). (2003)
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[Publications] Y.Negishi, H.Murayama, T.Tsukuda: "Formation of Pdn(SR)m clusters (n<60) in the reaction at PdCl2 and RSH(R=n-C18H37,n-C12H25)"Chemical Physics Letters. 366. 561-566 (2002)
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[Publications] Y.Negishi, T.Nagata, T.Tsukuda: "Structural evolution in (C02)n clusters (n<1O^3) as studied by mass spectrometry"Chemical Physics Letters. 364. 127-132 (2002)
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[Publications] S.Nagao, Y.Negihi, A.Kato, Y.Nakamura, A.Nakajima, K.Kaya: "Electronic structures of HonC6O clusters (n=1-5) : High electron acceptability of C60"Journal of Chemical Physics. 117. 3169-3173 (2002)
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[Publications] H.Sakurai, T.Hirao, Y.Negishi, H.Tsunakawa, T.Tsukuda: "Palladium Clusters Stabilized by Cyclodextrins Catalyze Suzuki-Miyaura Coupling Reactions in Water"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 27. 185-188 (2002)
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[Publications] M.Ohara, Y.Nakamura, Y.Negishi, K.Miyajima, A.Nakajima, K.Kaya: "Behavior of silicon and germanium clusters on C6O fullerene"Journal of Physical Chemistry A. 106・18. 4498-4501 (2002)