2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠川 隆博 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70300720)
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Keywords | 自己集合 / パラジウム / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
平成14年度は自己集合性三次元Pd錯体の内部空孔内で、Diels-Alder反応の反応速度が著しく加速することを見いだした。具体的には、ナフトキノンとシクロヘキサジエンのDiels-Alder反応を水溶性三次元錯体の内部空孔で行ったところ、水中と比較して、21倍反応が加速された。さらに、ナフトキノンとイソプレンとの反応では、113倍も反応速度が加速し、自己集合性三次元錯体における、新しい機能を見いだすことができただけでなく、水中有機合成の可能性を示すことができた。さらに本年度は、自己集合性三次元錯体の内部空孔に、電気化学的に活性なフェロセンが4分子包接されることを見いだし、包接体のX-線結晶構造解析にも成功した。このフエロセン包接体のサイクリックボルタンメトリーを詳細に測定したところ、酸化されたフエロセンは、カチオン性の三次元錯体(+12)の空孔から、飛び出し、還元後には再度空孔内に包接されるという興味ある知見がえられた。このように、自己集合成錯体の内部に取り込まれた分子を電気化学的に出し入れできる研究例は少なく、分子デバイス等への応用が期待できる。本研究は世界的にも評価され、J.Am.Chem.Socに掲載することができた。 本年度はさらに、この自己集合性三次元錯体の内部空孔にさまざまな有機分子が包接されることを見いだし、包接様式が有機分子の大きさと形状に依存して、三種類存在することを、NMR実験とX-線結晶構造解析によって明らかにし、J.Am.Chem.Socに掲載することができた。
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[Publications] T.Kusukawa, T.Nakai, T.Okano, M.Fujita: "Remarkable Acceleration of Diels-Alder Reactions in a Self-Assembled Coordination Cage"Chemistry Letters. 32・3. 284-285 (2003)
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[Publications] T.Kusukawa, M.Fujita: "Self-Assembled M_6L_4-type Coordination Nanocage with 2, 2'-Bipyridine Ancillary Ligands"Journal of the American Chemical Society. 124・45. 13576-13582 (2003)
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[Publications] W.-Y.Sun, T.Kusukawa, M.Fujita: "Electrochemically Driven Molecule Motions of Ferrocene and its Derivatives insideoutside of a Nanometer-Sized Coordinatoin Cage"Journal of the American Chemical Society. 124・45. 11570-11571 (2002)
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[Publications] M.Yoshizawa, T.Takeyama, T.Kusukawa, M.Fujita: "Cavity-Directed, Highly Stereoselective [2+2] Photodimerization of Olefins within Self-Assembled Coordination Cage"Angewante Chemie International Edition. 41・8. 1347-1349 (2002)