2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性ヘリセン分子の自己集積的な結晶配向を利用した超微細構造の構築
Project/Area Number |
14740352
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 潔 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40285101)
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Keywords | ヘリセン / ヘテロヘリセン / アゾニア芳香族化合物 / X線結晶構造解析 / クリスタルエンジニアリング / 自己集積 |
Research Abstract |
ヘリセン分子の橋頭位炭素を四級窒素で置き換えた新規なカチオン型ヘテロヘリセンであるアゾニアヘリセンの合成と単結晶構造の構造解析を行った。四級窒素の位置異性体および対アニオンの違いによる結晶パッキングの違いについて、現在のところ8種類の異性体を合成し、そのうち4種類について結晶構造解析に成功した。外側橋頭位に四級窒素を有する8a-アゾニア[6]ヘリセンでは、対イオンによって結晶構造が異なり、ClO_4^-塩ではヘリセン分子が一方向に並んだ配向をしており、右巻のヘリセンと左巻きのヘリセンが交互に層を成しているのに対し、PF_6^-塩では同一のヘリシティーを有するヘリセン分子が180度回転しながら積層しており、その空隙に対イオンが位置するホモキラルなカラムを形成していることを見い出した。一方、内側橋頭位に四級窒素を有する16c-アゾニア[6]ヘリセンでは、上記2種類の対イオンの単結晶の間に違いは見られず、いずれも後者と同様のホモキラルなカラム状の結晶パッキングをしていることを確認した。これらの違いは、現在のところ、カチオン(アゾニアヘリセン分子イオン)とアニオン(対イオン)の大きさの比によるものと推測される。.今後、残りの4種類のサンプルについても単結晶構造解析を行い、この相関を明らかにする予定である。また、上記のカラム状のパッキングが積層したヘリセン分子間のπ-πスタッキングと電荷移動相互作用によって安定化していると考えられることから、π-アクセプター性のアゾニア骨格(キノリジニウム環)に対しπ-ドナー性のチオフェン環を組み込んだ新規なヘテロヘリセンであるアゾニアチアヘリセンの合成を検討し、6種類の新規ヘリセンを合成した。これらについても同様な結晶構造解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kiyoshi Sato, Sadao Arai, Takamichi Yamagishi, Tomoaki Tamase: "An Azonia Derivative of Hexahelicene"Acta Crystallographica Section C Cryatal Structure Communications. C59(印刷中). (2003)
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[Publications] Kiyoshi Sato, Sadao Arai(ed.by Hiroyuki Takemura): "Cyclophane Chemistry for the 21st Century Chapter 8. Heterohelicenes containing nitrogen aromatics : Azahelicenes and azoniahelicenes"Research Signpost. 25 (2003)